テーマ「春の日」 
 晴天。雲はなく、青を遮るものはなし。其処らに転がった石ころを投げたところで飲み込まれるような、底なしの色。深海とはまた違う、しかし覗きこめばすべてを攫っていきそうな空虚。
「なーにを黄昏てらっしゃるんです、か!」
 背後から甲高い音と共に衝突してきた質量が己が重心を揺らし、寄りかかる。徐々に、徐々に傾きかかる重量は容赦なく、此方の身体を押し倒した。
「……重っ……」
「なっ!!失礼ですよレディに対しての最上級の侮辱です!はっ!この場合は最低級というべきか……!」
「お前、俺より人間歴長いんじゃねえのか……そのおつむは飾りかよ……」
 青から一変、草原の緑が視界の半分を埋め、頬をつぶしたまま青臭い匂いを嗅ぐ羽目になった。その元凶はいまだ背に乗り上げ喧しい囀りを続けている。平素ならすぐさまひっくり返して鼻っ面を引っ張り尚且つ丁寧にまとめた髪を好き勝手に梳いて涙目の謝罪を吐き出させる所まで遊んでやるのだが、状況が状況だった。
 目下、視界は霞み陸上特有の肺呼吸は必要最低限、脳みそには船を座礁寸前まで追い込む嵐さながら不明瞭だった。やっと、やっとの事アースラ様から賜った「人魚たちに履行した契約書、歴代ナンバーの修復と整理」という地味……否、慎ましやかだが重要かつ重大な仕事が終わったのだ。そもそも、基本的な整理はしてあったのだが、より細分化、なんでも後世の優秀な隣人が増える可能性が予見されたため、資料として閲覧できるレベルまでの細分化が必要になったらしく。それを命じられたのが一昨年の冬、気づけば時は蒼穹、青が空を支配する春になっていた。
「……とうに全くお仕事が佳境になったからと籠りっきりになるのはジョーさんの悪い癖ですよ!私が連れ出さなかったらずっと机がベッドになっていたでしょうに!」
 依然、背中に居座っていた重量がふっと消える。そして隣、ちょうど同じような草原に何かが転がった。ゆら、と視線を投げればバスケットが、目前を遮るようにして置かれる。続いてグレーの袖口が、其処から覗く細く白く、女らしい腕が伸びてきて頭上を掠めた。いや、通り越した掌が自分の頭の上に乗った。
「……ふふふ、いつもよりすごい隈」
 重たい瞼が視界を狭めようとも、空を仰ぐ。見上げれば、青い青いとぼんやりぼやいていた空越しにルージュの赤が映える女が笑っていた。眼鏡のレンズが隠す瞳は細く弓なりに、此方を見下ろしていた。
「……うるせ……息も絶え絶えだぞ、……こっちは」
「はいはい、ではそうですねぇ……ランチは後からにしましょうか」
まずはお昼寝!と女は、そのまま勢いづけて転がった。無論、隣の空きスペースに只広いこの草原で。だがもはやそれも他愛無いことだ。転がった影が見えたところで、自重に耐え兼ねた瞼は落ちる。ぱたんと音もなく閉じた瞼、隣に潜り込んだ、人間らしい体温だけが近くしたものだった。
「おやすみなさいね、ジョーさん」
 女は呟いた言葉も定かでないが、なんだか夢見がよい気がした。
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Bbab
ファイトじゃー!
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あかべこのこう
ありがとー!
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向き
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テキストライブ試運転してみた。遅筆だけどゆるしてね。今回はこれまで!
初公開日: 2020年04月12日
最終更新日: 2020年04月12日
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コメント
テキストライブ試運転回。実際に文字を書きながら配信出来たら画面の共有ができてたのしいのでは?と考えて実施検討中。今回のお題は診断メーカー様より拝借しました。
こうの🐙👓は
「お花畑に寝そべって昼寝をして、お互い幸せな夢を見るのでした。」
#春の日の2人 #shindanmaker
https://shindanmaker.com/979695