ふっと、夜中に目が覚める。
別にトイレに行きたいだとか、何か物音がしたとか、そういうわけではなくて、本当に、急に。
今、何時だろう。
そう思って、壁に掛けてある時計を探すけれど、真っ暗闇で、挙句寝起きの目ではその形を見つけることはできなくて。ただカーテンの隙間から漏れる月明りで、なんとなく、まだ夜中だろうと思う。
もうひと眠りしよう。
ゆっくりと目を閉じて、隣にある愛おしいぬくもりを求めて体をすり寄せる。自分よりも体温の高い彼は、寝ている時特有の温かさで、この時期とはいえ冷え込む夜にはちょうどいい。……なんて言ったら、綴くんに失礼だろうか。
毛布を被りなおしながら体をすり寄せ、その温かさと彼自身の匂いを楽しむ。
温かいなあ。綴くんって感じがする。
そう思ってしまうと、不思議と気持ちは落ち着くのに意識は覚醒に向かってしまって、体は眠たいになかなか眠りに落ちることができない。瞼は重たくて、体を動かすことも億劫なほどなのに、意識だけはどんどんとはっきりしてきて。
どうしよう、眠れなくなっちゃった。
もぞ、と体を動かして、落ち着く場所を見つける。その動きが大きかったのか、隣の綴くんが、声にならない声で何かを話す。起こしてしまっただろうか。
「……綴くん……?」
「ん……んぅ……」
返事をしているのか、していないのか。
判断に困る声が聞こえてくるけれど、今度は綴くんの体が動いて、ゆっくり、僕の体を抱きしめた。
「ぁ……おこ、した……?」
「……、 か…、…」
「うん……?」
何を言っているのか、聞き取れない。
綴くんと一緒のベッドで寝るようになって数年。何度か彼の寝言は聞いたことはあるけれど、こんな風に聞き取れないときと、やたらはっきりとしゃべる日があって。どうやら今日は、前者のようだ。
まだ寝ている、そう思って起こさないように静かにしていれば、背中に回った綴くんの手が、一定のリズムで優しく叩いてくる。それはまるで、小さな子を寝かしつけているときの、あの「とん、とん」とする仕草で……と、いうよりも、まさにそれである。
弦くんと、勘違いしているのかな。
「……、つづるくん」
発した僕自身も聞き取れないくらいの小さな声でそっと名前を呼ぶ。口の先からこぼれたような、呼んだとも言えないような音だったのに、その声に反応するように、綴くんの腕に、少し、本当に、ほんの少しだけ力が入って、抱きしめようとしてくれていることが伝わる。
なんだ、ゆづくんと勘違いしているんじゃないんだ。
そう思えば、自然と笑みがこぼれる。眠っている時くらい、しっかりと休んで、僕のこと気にかけなくてもいいのにな、なんて思いながら、それでも、優しく甘やかそうとしてくれているのが嬉しくなる。
もしかして、さっきの寝言、僕の名前を呼んでくれたのかな。なんて。
きっと目が覚めた彼に聞いても覚えていないだろうから、その事実を確かめることはできないけれど、それなら、僕は「そうだ」と思い込むようにしよう。言った言わないの論争じゃないけれど、本人すら答えを知らないのなら、その勘違いくらい、許されるよね?
「……おやすみ、つづるくん」
意識は変わらずはっきりしたまま、むしろさっきよりも覚醒してしまったけれど、穏やかな、温かい心のおかげなのか、目を閉じると一気に微睡がやってくる。
完全に眠りに落ちる前、寄せられた彼の唇が額に触れたよな気がしたけれど、翌朝起きた僕は、そのことを覚えていなかった。
以上です~。
この後は誤字脱字と語感の確認になります!
誤字しすぎなのがばれてしまっている恥ずかしい!!!
配信は一度ここで終わります!
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