上鳴電気という男は、一般的に女好きと呼ばれていても女性に対して至極丁寧な扱いをする男であった。“女の子は可愛いし華奢だしか弱いから、傷つけることなんか出来ねぇって”、そう頑なに言い張る上鳴に瀬呂はアホだねぇと内心笑ったものだった。『地味に』優秀で、クラスメイトからすれば“おモテになっている”瀬呂にとっては男女の交際なんて「こんなものか」と拍子抜けするほど簡単なものであった。上鳴は女の子を神格化しているのであろうか。それとも、ただ単に経験がないからそう思うだけなのであろうか。否____上鳴の根底にあるのは、人の好さ、だ。自分より弱いと思っている存在を無下にはしない。アホで、チャラそうに見えていて、その実筋が通っていて、確りとしたものを持っていて、美しい。だから壊したくなる。その欲望は膨れ上がっていくばかりで、「良い子」の上鳴の仮面をどのくらい剥ぐことが出来るのか。最初はそのような好奇心から、シャープペンシルを上鳴の唇に押し付けた。どんな抵抗すんのかなぁ、驚いた顔をするだろうか、手で払われるだろうか、そんな瀬呂の考えに反し上鳴は「うぇ?」と声を上げただけであった。あっそう。抵抗、しないんだ。そこからは衝動の赴くまま。ファーストキスなんてとっくに棄てていたから、もし上鳴がファーストキスだったら申し訳ないなぁなんて頭の隅で考えながら、瀬呂は翻弄される上鳴を薄目で見ていた。吐息を漏らす上鳴は扇情的だったが、それ以上のことをやりたいとも、可愛いとも思わなかった。ただ、上鳴とのキスは存外気持ちが良かった。
それから卒業するまで、そして働くようになってからもズルズルと関係は続いていた。初めて上鳴の体を拓いた日、瀬呂はその従順さに驚いた。恋愛面において決して鈍い方ではないと自覚していた瀬呂は、「男同士」、しかも「下」になる方を当たり前に受け入れる上鳴の思惑に勘づく。ああ、そういうことね。上鳴、俺の事好きなんだ。すべてが腑に落ちた瀬呂であったが、特段何かの行動を起こすという気にはならなかった。上鳴は心と体を切り離して考えることは難しかったのかもしれない。だからといって瀬呂も同じというわけではない。元々瀬呂はドライであった。上鳴の他にも性欲を解消してくれる女の子はいたし、別に上鳴でなくとも自分は大丈夫、と瀬呂は思っていた。
ただ、優越感にも似た、
良い子の上鳴は、二股なんかしない。いつの間にか上鳴に本命や、彼女がいることは無くなっていた。「本命作れって」と瀬呂が唆すが、「今忙しいンだって!」「瀬呂が本命だって♡」茶化すような返答しかなかった。瀬呂は愉快だった。上鳴はいつだって、瀬呂のことを第一に考える。さもそれが普通のことであるかのように。
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セロ上つづき
初公開日: 2020年04月09日
最終更新日: 2020年04月09日
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ゆにば行く宿伏になるはず
企画の遅刻参加したいと思っているけど間に合わなかったら普通に投稿予定。ゆにばに行ってひたすら食べまく…
あぼだ