思いついたものからバシバシ書く
えーと、、、
🍒⏱🧹
これでかくか
***
色彩心理学というものをご存知だろうか。
僕は聞き齧った程度しか知らないが、たまに専門職の人の出している本などを 図書館で見たりする。
これがなかなかに面白い。
オタクなら黒に染まれ、とはよく言うが、実際僕は黒が好きだ。中二病などと言われればそれまでだが。
実家にいた時も、今のこの生活でも、色の持つ力なんて考えたことが無かった。
『心を落ち着かせるためには暖色が効果的』
ふと、脳裏に浮かんだ暖かい色は、彼の持つオレンジ色だった。陽だまりのようなぬくみを持つ性質の彼は、なるほど存在自体が暖色のような効果があってもおかしくはない。
さて、話は少し変わるが、僕の身の回りには『黒』しかない。
制服などは鮮やかな色味だが、自分で集めたもの、例えばシャーペン、ボールペン、筆箱、竹刀入れ。それら全てが真っ黒だ。
最近とにかく忙しい。剣持刀也の生活には、暖色が必要なのかもしれない。そう考えると、この本に出会ったことすらなにかの縁なのかもしれない。
善は急げだ。早速この本を借りて、帰りに文具店にて 一本の赤ペンを買った。
***
「…………おぉ……?」
意外なところで、『それ』は見つかった。
今日は雨天。生憎の空模様だが、頭痛薬を飲んだおかげで偏頭痛はしない。この時期は低気圧が続くので、薬が手放せない。
雨は降っているが外出できないほどではなく、俺は刀也さんの家に遊びに来ている。
刀也さんは大学進学が決まってから、一人暮らしを始めた。1LDKで俺ん家より狭いが、その分そこ彼処から刀也さんの生活を感じる。
そして、新年度で忙しい生活を送っている刀也さんの家に行って、溜まった家事をこなすことが 最近の俺の楽しみになりつつあった。
身体を動かすのは楽しい。それも刀也さんのためになることであれば、もっと楽しい。
ちなみに本人はというと、物置きを改造した書斎で勉強中だ。えらいねぇ。
そんなわけで本人はいないので、それをいいことにどんどん片付けていく。
書斎には入るなと言われたので、あとは刀也さんの寝室だけだ。勝手知ったる部屋を開け、掃除機をかけていた時のことだった。
「ん?」
足で何かを踏んだ。
感触からして、棒状の何かだ。ペンだろうか。
拾い上げて見たらやはりマジックペンで、よく受験生などが使っている、シンプルな赤ペンだった。
勉強道具を片付けている最中に落としてしまったのだろう。早速刀也さんに報告しようとドアを開け……
ガンッ!
「いだっ!」
何が起きたのか分からない。いや、単純に外側からドアが勢いよく開いただけなんだけど、勢いが良すぎたのと急すぎたのとで 思いっきりデコにぶつかった。
「いってぇ……」
「ガクくん!赤ペン見ませんでしたか!?」
「いや先に謝れや……」
刀也さんが1LDKに住んでてよかった。もう少し質のいい厚いドアだったら、額にコブができていた。
「えっと、何だっけ。赤ペン?ほい」
「ッ!あ、りがとうございますっ」
差し出した手の中からサッと奪い取って、刀也さんはそそくさと「失礼します」と部屋を出ていった。
…………なんだ……?
変な刀也さんだ。
というか、最近の刀也さんはちょっと変だ。
今まで黒一色だった私服に差し色が入ったり、そういえば今までは……大学受験の勉強中とかに、赤ペンで丸をつけている所なんか見たことはなかった。
刀也さんは真っ黒が好きだ。何物にも染まらない、闇のような黒。
なのに最近は、何かに…………いや、誰かに影響され始めたのか、色とりどりになりつつある。
変だ。へん。
色が混ざり始めた刀也さんも、俺と居る時間が減り始めた刀也さんも、……それが嫌な、俺も。
全部、変だ。
刀也さんは、俺に『隠し事』をしている。
「見つけなきゃ……」
意外なところで、『それ』は……『嫉妬心』は見つかった。
***
最近、よく色に目が止まる。
赤いリンゴ。橙色のスカーフ。黄色い置き時計。
プラシーボ効果もここまで来るとすごい。僕は無意識のうちに、暖色系統のものを選ぶようになっていた。
気分転換にと外出して、ついつい暖色のものを見つけ、結果 買ってしまう。
今日もそうだ。参考書を買いに行くついでにと、目に留まった雑貨屋さんで、可愛らしいマグカップを見つけて買ってしまった。さくらんぼモチーフの、二つでひとつのペアマグカップだ。
良くない散財だと思いつつも、一人の家の中に彩りがあると なんだか落ち着くような気さえしてしまう。あなどれない。色彩心理学。
まぁ使わないわけではないのだ。流石にこの間買ったくまの置物はどうしようか迷ったが、コップはいつだって使うし。勉強中も使う。うん。大丈夫。
そうやって、気がつけば僕の部屋はすっかり落ち着いた暖かい色味に染まっていった。
悪くないことだ。
一人暮らしというものはどうしてもノスタルジーやホームシックによって寒々しくなると聞くが、今のところ僕はそんなことはない。暖色パワーのおかげだろう。
そう。メリットがある。だから全然悪いことではない。
…………日に日に不機嫌になっていく、ガクくんの態度を別とすれば。
ガチャ
「ただいまー」
「あっおかえり」
ぱたぱたとスリッパを履いてガクくんを出迎える。
言っておくが二人暮らしではない。
ただ最近は、ガクくんが毎日僕の家に入り浸っているせいで、こうやって挨拶するのが常だ。
「今日ガクくんが晩ごはん作ってくれるんですよね。何作るんです?」
「えーと、イカスミパスタとピータン」
「食べ合わせ悪っ」
そして黒い。僕は見逃さなかったぞ、お前がそそくさと冷蔵庫に入れた 黒ごま豆乳を。
一時間経ったので
ここまでにします
楽しかった!
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