お前が死んでしまったらいやだ、という駄々をこねてみたけれども、そんな屁理屈は通ることなどなく、恋人は「無理だよ」と微笑むばかりだった。そして幾ばくかの日々の、そのあとに言葉通りあっけなく死んでしまった。俺にはシャルルしかいないし、シャルルにも俺しかいないはずだった。が、世界はどうやらそうじゃない、というクソッタレな理屈のもと、俺の恋人はあるかもわからない天国へと旅立って行った。
無理だよ?いや、無理なんかじゃない。安らかな寝顔としか思えない、棺の中のうつくしいかんばせを見つめ続ける。ごうごうと燃える火の中に突っ込まれた真っ白な棺桶が、どろりとアイスみたいにとろけてなくなっていく様を想像しながら、ぐっと指先に力を入れた。愚かな理屈も夢物語も描き続ければどうにかなる。空を飛んだ人間だって初めは指を差され、嘲笑されたはずだ。そんなわけで、俺は自宅に戻ってからあり合わせの道具とそれからそこそこよかった頭を組み合わせて、できそこないのこいびと擬きを作りだし、積んでは崩す毎日を送っている。
「それでさああるんだってフローフシ」
「へえ」
「信じてないでしょこんなに頑張ってるみたいだから教えてあげたのにひどういですよ」
「頑張ってる、ねえ」
え〜んひどうい、白々しい泣き真似を見せつける女を一瞥しながら、俺の袖をいじり続ける、今のところの「しゃるる」たちは、きょろきょろとおぼつかなげに辺りを見回しては、白痴さながらの幼さで人ならざる愛らしさを振りまいていた。
「とりあえずその腕がめちゃくちゃある子ちゃんは、こちらでいただきますから」
「へえ」
「ねえ、へえ以外おはなしできないんですかあもう」
「する必要がねえからな」
いちおうパトロンなんですけどお!気取った言い回しの受付嬢はたくさんの腕のうちのひとつを手にすると、にこにこと微笑みながら何処かに連れていく手はずを整え始める。それではまたそのうちに、渡された封筒の中には高額紙幣がいくつか、それと簡素な地図が入っていた。眉をひそめた俺にお節介ですからお気になさらず、と少女は笑顔を貼り付けたままだった。
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ロビシャル 思想の強い施設
初公開日: 2020年04月08日
最終更新日: 2020年04月08日
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恋人を亡くしたマッドサイエンティストがバケモンと戦う話です