引きずるようにして連れてきた彼を地下牢に放り込んだ。遠い昔に牢獄として使われていた、誰も寄り付かないような陰気な場所だ。私に突き飛ばされ、濡れた石の床に倒れた彼は、激しく燃えさかる瞳で私を睨み上げた。
彼は本気で私を殺したがっている。
ゾクリとするような愉悦を感じた。だがそれを押し殺し、私は何気ない風を装い腕を組んだ。
「言いたいことがあるなら言えばいい」
あるに決まっている。アルバスは彼が、ブラックが死んだことを私のせいだと思っていると、そう言った。そうと知って、わざと彼を煽り激高させる。
「ああ、あるとも!!」
エメラルドの瞳から怒りの炎が噴き出すかのようだ。漏れ出した魔法力が渦巻き、彼の髪を吹き上げる。空気が揺れ私のローブをはためかせた。
「お前の、せいで、シリウスは死んだ!!!」
私がただ片眉を上げたことは彼の怒りに油を注いだようだ。
「お前がいなきゃ…!!お前のせいだ、お前の…」
彼の声が上擦って、聞くに耐えない罵詈雑言を喚き散らす。彼の目は狂気の光を帯びていた。
「そうか。ならば我輩は、貴様の愚かな名付け親を殺したということになるのでしょうな」
「シリウスを馬鹿にするな!!!!!」
彼が絶叫した。血を吐くような叫びとともに、左頬に衝撃が走る。避けもせずに彼の拳を受けた私はいとも容易く地面に打ち付けられた。怒りに囚われ我を忘れた彼が、馬乗りになって私を打擲する。
「お前が、シリウスの、何を知ってるって言うんだ、っ!!」
「あの、犬が…っ、傲慢な、ろくでなしだったことなら、知ってるがねっ、!」
「恥を知れっ!!!」
どうにか嘲るような笑みを浮かべて見せて、ブラックを罵倒してやると彼はわかりやすく激高した。支離滅裂な言葉を吐きながら手当たり次第私を殴り付ける。頬の内側が切れて血の味が広がり、痛みと脳震盪でクラクラする。だがこの程度なら杖のひと振りで治ってしまう。魔法とは実に便利だ。それに私は殴られることに関しては特別慣れている。ポッターもそれは同じなのだろう。彼は恐らく、無意識に急所を避けていた。つくづく甘いことだ。彼は悪人に向いていない。根が素直すぎる。
唐突に、一方的な暴力が止んだ。少し開きにくくなった目をこじ開け、私に跨った彼を見上げると、彼は肩で息をして顔を歪めていた。まるで殴られたのは自分だとでもいうような。
おしまいです。おやすみなさい。
たぶんまた明日。🥰