*エブリスタに載せている『ラッキーとエル』の続きを書いていきます
これ視聴者数とかわかんないのかな……
あと文字数もカウントできるとなおいいなあ
そろそろ終了します、ありがとうございました~
その日、俺がエルと一緒にオンミョウジへ向かうと、事務室には先に一人だけメンバーがいた。
知らない顔の奴だ。
学生だろうか、俺よりも年下そうな女子で、アッシュの髪色のボブヘアーに深緑の長いワンピースを着ている。髪色こそ派手なものの、大人しそうな人に見えた。
彼女は気だるげに事務室のパソコンに向かい――――いや、向かっておらず、デスクの上で手を動かして何かを作っていた。
その様子が気になって覗きに行くと、予想外のものがあった。
彼女は手元で、『己の手から植物の蔦を出していた』。
片手からぞろぞろと鎖のように、紐のように蔦を出しては、それを丁寧に鋏でカットしていく。
蔦にはやわらかい針金のように硬度があるらしく、曲げて形作っていくとひとつのオブジェのようになる。
よく見ると、完成品が既にデスクの上にはいくつも転がっていた。
手のひらほどの小さな、蔦でできた兎、鳥、そして犬。
針金細工のような、工芸品のような緻密さがある。
「器用なものだな」
俺の声に彼女は振り向くと、予想よりもハスキーな声で答えた。
「……? 誰ですか。エルさんはともかく、初めて見る方ですね」
ボブカットの頭が揺れる。
「俺は、あー……ラッキーという。君も能力を買われてここで雇われているのか」
「はい、まあ。あたしは初級能力者なので、どちらかというとただの事務員ですけど」
手元で蔦の兎をいじくりながら、彼女は答えた。
「あたしはイバラです。能力は『蔦使い』ですけどー、主にタロウさんのジム仕事とか、裏方をいつも手伝ってます。まあバイトなので……」
「アルバイトということは、学生なのか?」
「高校生っす」
「!?」
高校生まで入れているのか、この組織は。
「でも、最近なんか仕事のモチベあがんないんすよねー。そろそろ辞めようかな」
「会って早々で早いな」
「だって、普段オンミョウジって男の人ばっかりなんですもん。女の子が全然いないんです。あたしだって、好きでタロウさんの事務の手伝いしてるわけじゃないし……」
そう言って髪をいじる姿に、どうもこのイバラという人はタロウさんのことがそこまで好きではなさそうだなと感じる。
と、そこに噂をすれば。
「ああ、皆さんお揃いでしたか。ちょうど良かったです」
ドアを開けてタロウさんが入ってきた。
「実は、今日からまた新しく依頼が入りましてね」
タロウさんはまた、知らない誰かを連れてきていた。
彼のうしろにいたのは、女性だった。
俺と同い年くらいでイバラとはまた違う、ふんわりとしたショートの黒髪で、シンプルな白いTシャツにパンツ姿。
素朴で化粧っけのない、色白の美人だ。
タロウさんが連れてきた彼女は、俺たちを見渡すとにっこりと笑った。
笑うと目が細くなり、綺麗な笑顔になる。
「あ、女の子……」
隣でイバラがつぶやいた。
(改ページ)
タロウさんが連れてきたその女性は、正真正銘の新しい『依頼人』のようだ。
あとから遅れてやってきた社長が、彼女に尋ねる。
「初めまして、セイメイと申します。……お名前をお伺いしても?」
彼女は笑って答えた。
「結、といいます。むすぶ、という漢字を書いて、『ユイ』です」
「そうですか。結さん、よろしくお願いしますね」
そう言って社長は右手を差し出した。俺に最初に挨拶したときみたいに。
しかし、結さんは社長の手を『取らなかった』。
代わりに振り返って、驚くみたいにして俺たちを見渡した。
「すごいですね、ここにいる人たちってみんな能力者なんですか?」
「ええ。初級の方から上級の方まで幅広くおりますよ」
とタロウさんが答えると、「へえー……!!」と彼女は目を輝かせている。
「これなら、私も安心です。私、無能力者で、自分で身を守るすべがないって思ってたから」
と、にっこりした。
いかにも健康で悩みもなさそうな風に見えたが、そんな彼女も困ってここを訪れたというわけか。
ふいに、結さんはエルの方を見た。
黙って気だるそうに突っ立っていたエルだったが、彼に結さんが視線を合わせる。
すると、彼女は意味ありげに笑ったのだ。
「……おい、知り合いか?」
俺が小突くと、エルは表情を変えないまま「いや」と呟いた。
「知らないっすね」
「そうか」
まあ、あんな綺麗な人ともし以前から知り合いだったら、羨ましくもないが。
***