・予告なく中座するかもしれません、ごめんね!
日が昇ると同時に、家に着いた。
義勇は三和土で羽織を脱ぎ、ばさばさと土埃を払った。そして、長く溜息をつく。その吐息の中には、やっと帰着できたという安堵と、生き永らえてしまったという嫌悪が混じっていた。鬼退治のあとは、いつも気が滅入って仕方がない。義勇は羽織を緩く畳んで手に持ち、草履を脱いだ。
風呂には目覚めてから入ることにした。義勇はとにかく眠りたかった。起きている限りは、脳は動きを止めてくれない。何かを、考えてしまう。彼は乱暴に隊服を脱ぐと、畳に放った。もし胡蝶が見ていたら「あらあら脱ぎ散らかして」なんて小言を言われるかもしれないと頭の隅で考えた、が、その考えもすぐにゆるゆると解けて消え失せた。シャツのボタンをのろのろと外し、敷きっぱなしの布団の上にくたりと丸まっている浴衣に手を伸ばした。はやく、眠りたかった。
浴衣に着替えると、義勇はすぐに布団に横たわった。固く眼を閉じて眠ろうとするのだが、手にはまだ日輪刀の柄の感触が残っていて、落ち着かない。眼を閉じたまま幾度か手を開き、閉じ、開き、それを忘れようとするのだが、うまくいかない。また溜息を吐いて、寝返りをうつ、と
ダンダンダン!
玄関の戸を強く叩く音がした。義勇は慌てて起き上がり、布団から這い出た。こんな早朝に何事だろう。衣紋掛けから羽織をとると、義勇は来訪者を迎えに玄関へと向かった。
*
「冨岡さん!」
建付けの悪い引き戸を開けてやると、そこには同僚の甘露寺蜜璃が立っていた。義勇はぎょっとした。彼女の来訪それ自体も驚きであったが、それよりも、蜜璃が連れている二人の人間のようすに、全身の、ひふがさかだつような(???)
蜜璃は背中にひとりの隊士を背負っていた。彼は(もしかしたら彼女かもしれないが)血まみれで、肩がかすかに上下していることから生存していることは分かったが、重症であることは明白だった。そしてもう一人、蜜璃は右手でもう一人の隊士の手を牽いていた。――胡蝶しのぶだった。
「冨岡さん!あの、どうしよう、わたし、あの、鬼がっ、しのぶちゃんが、別の子をかばって、それで」
義勇は今にも泣き出しそうな蜜璃、その背中で呻く隊士、そして蜜璃に手を牽かれているしのぶを見た。しのぶは、虚空をぼうと見上げて何事も話さない。瞳は確かに開いているのだが、そこには何も映っていないようだった。蜜璃に握られた左手首は脱力しきっていて、およそ意思がそこにあるようには見えなかった。義勇は大きく息を吐いた。(戸口から射し込む陽光が眩しい。)
「待て、甘露寺。落ち着け。一から話せ」
「え、ええ……。ごめんなさい、わたし、取り乱しちゃって」
蜜璃が言うには、こういうことだった。
もらいうける
ぬえええええぜんぶコピーしたらとんでもないことになるな。
しかし、彼の顔には朝を迎えられた喜びよりも、疲労ばかりがあった。
★戸の外からは目覚めたての雀のさえずりが聞こえてきたりなどして、さっきまでの惨劇が嘘のように平和な朝である。