「和泉守!!」
出陣から戻った和泉守。
仲間と共に正門から玄関へと向かっていると、その左手は元気な呼び声と共に背後から掴まれた。
「和泉守!お疲れさんじゃ!」
「おう。お前もお疲れさん、陸奥守」
陸奥守に両手でしっかりと握られた左手を勢いよく高く上げれば、彼は楽しそうな笑い声を上げながら足取り軽くくるりと回り、和泉守の正面へと躍り出た。
自身も出陣帰りのために戦装束を纏ったままの陸奥守。
その髪や外套はたくさんの桜の花びらに覆われ、春色に染まっていた。
「桜、見て来たのか?」
掴まれたままの左手をくるくると回せば、彼はそれに合わせて軽やかにステップを踏んで小さく回転し、纏った花びらをはらはらと散らせながら嬉しそうに「おん!」と答えた。
外套に付いた花びらが散り落ちる中、その元気に跳ねた癖毛に絡んだ花びらはいつまでも彼の髪をふわりと優しく包んでいた。
麗らかな春の日、はらりはらりと舞い散る桜の花びらの中。
まるで花嫁のベールの様に幾つもの花びらを髪に散りばめ、自分の目の前で幸せそうに踊る伴侶の姿に、和泉守が溢れ出した愛おしさを隠そうともせずに彼を抱きしめた、昼下がりの一幕。
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