※Hot-Blood、Re:Flyのユニストバレあり
耳障りのいいその声が、好きだと思った。
初めて聞いたのはいつだろう。まだ色々探っていた時期だろう。
できればあまり近づきたくない荒木先生の執務室辺りをうろついていた時だった。初めて聞くその声に思わず足を止めたのを覚えている。
その日は誰の声かは分からなかったが、別の日荒木先生が幸弥と呼んだ事で声の主は分かるようになった。
それからだろう、家の事の合間に先輩の事を調べだしたのは。
長い間宝石ヶ丘に在籍していて、現在は高校2年としてRe:Flyに所属。コスモの愛称で生徒からは好かれている。その一方で地球侵略しに来たと言う発言もあり。
その程度は簡単に出てくるのだが、その先がない。
同じユニットのメンバーなら暴力沙汰などなんなり出てきりもしたのだが、この人はほんとに出てこない。
むしろ異常なくらいに。
その分からなかった領域に1歩踏み込めるきっかけとなったあの声。普段の声より低めで、こちらが地声だと言われても納得出来る。それより問題なのは、何故あの声を隠しているかということだ。
耳障りが良かった。それは足を止めてしまうほどに。知らない声だったから好奇心が働いたのも間違いではないのだが、声が好みだったのも理由の一つだ。
けれど分からなかったことは些細な出来事で理解出来てしまった。
眠れない夜は気分転換にといつも通り抜け出していたところで、先輩と記者が話しているところを目撃してしまうとはさすがに思わない。しかも話している内容も内容だったので気づいてすぐに隠れたのだが、どうもバレていたらしく後日青柳先輩からミヤ経由で連絡を受けた時には冷や汗ものだった。
その内容は俺のやってる事を見ぬフリする代わりに、先輩のことも見ぬフリするというもの。
ただの口約束でしかないそれが、効力など些細なものだとは互いにわかっている。
だからこそ、俺は破ることはできないだろう。
それから何かとちょっかいを出してくる黒コスモ先輩に時折面倒くささは感じつつも、知ってる人が少ない心地よい声を聞けるその時間は別に嫌いではなかった。
俺がスパイだってバレた時も、その他の時でもあまり目立って動かなかった先輩が今回はピリピリしてまで動き回っている。
だからさ、特待生。
「ふたりとも、悪い人間じゃないよ。
それでいいんじゃないのかな?」
君は心配しなくていいよ。
きっと大丈夫だって、今なら言える。