※pkmnのkbdnです。
続けて書けるみたいなのでタイムスタンプつけておきます。
注意書きは説明欄に。
(馴れ初め的な始まり。両片思い)
20200117=17:05=====start
 目覚めたら見知らぬ天井だった。
 常に象徴となっているヘッドバンドの所在を探し、額に在らずのそれを求めてキバナは上体を起こす。被っていたブランケットがぱさりと皮膚を撫でて滑り落ちていった。
 はて、寝間着はどこだ。
 ジェラルドンとお揃いの灰色の、柔らかい生地の寝間着を愛用しているというのに、それさえも己の身体に見当たらない。どんよりとした疲れが筋肉を覆っている感覚が煩わしく、今すぐにでも熱いシャワーで流し去ってしまいたい。
茫洋と後頭部に手をやり、髪の毛もそのままだったと髪ゴムを外して首を回した。喉が酷く乾いている。水を求めてベッドボード側へと手を伸ばし──ふわふわとした癖毛に指が絡まった。
 仰け反ったキバナはベッド下へと腰から落下する。痛みの悲鳴さえもあげられず、一瞬で地蔵のように固まってしまった片腕をそろりと引き寄せ、フロアマットから数秒前の居場所を見上げた。ベッドの上、リネンの小山から覗かせているその癖毛はラベンダー色。
 どすんと響いた振動に、小山の主はもぞもぞと片腕をふりあげて指先をはらった。
「静かに……怒られるのは、オレ、なんだぜ……」
 キバナの耳にはっきりと声が届いた。ダンデだ。掠れ気味の声が、眠気混じりの緩さで転がっていく。数度揺らされた筋肉質な腕がまた布団の中へと戻ってしまえば、キバナはぽつんと混乱に取り残された。
 一糸まとわぬ身体が、流石に床の上でぶるりと鳥肌を立てた。
「……は? ………はぁ?」
 横に散らばり転がっているのは二人分の衣類。昨日身に着けていた自分の服を慌てて引っ掴み、下着も何もかもを身に着ける。その前に恐る恐る尻の間を触ってみたが、濡れても荒らされてもいない様子であった。モンスターボールの中の仲間たちはまだ眠っているようだ。
 立ち上がってベッドを見つめてみるが、小山の主がダンデなのは変わらない。別の女性、いやどんな女性であっても困るが、あるいはポケモンなどに姿を見間違えたのではないかと睨みつけても、静かな呼吸で上下するそれは変わらない。その寝姿を前に、う、だの、あ、だのと呻いたキバナは、やにわに脱兎の如く部屋を出て行ってしまった。
 ベッドサイドの時計はちょうど朝5時を指した刻限。まだ一日は始まらない。
20200117=17:29=====end
20200119=18:53start=18:59stop====21:06start
 どうしたのかとダンデは訊ねた。
「ああ?」
「目尻だ。いや、右の……そうそこ。傷が出来ている」
 キバナが指でこすると、ピリリと痛みが走った。小さな切り傷があるらしい。自分の見えない顔をスマホロトムに写して確認してみると、褐色の肌に桃色の断面が可愛らしく乗っている。
「あー、何だろうな。さっきの稽古のときにつけたか…」
「らしくない」
 もごもごと言葉を咀嚼し、竜の番人は八重歯を見せつけながら苦笑した。らしくない。らしくない。彼とのポケモンバトルで擦り傷切り傷お手のものだというのに、唾でもつければ治りそうなこんな小さいものを目に留めてそう評されるのは……それこそ『らしくない』ものだ。
「真剣なやりとりしてるからよ。オレサマも男だ、傷ぐらいどうってことないだろ」
「それも、そうだ」
 ニカリと笑ったチャンピオンは控え室のテレビ画面に目を向けた。少なくない人数のトレーナーたちがスタジアム内に立っているのが見える。疲弊していたり、落ち込んでいたり、そんな人々は皆ポケモンと向き合って話し掛けている。
 先ほどまでダンデやキバナが相手していたトレーナーたちの姿をもう一度見て、キバナはベンチに預けていた腰を更にだらりと流した。半分ずり落ちてしまった下半身をダンデに蹴飛ばされるが気にしない。
「新参のトレーナー目指してる奴らに指導する集まりつってもよ、あの中で何人が上がって来れるんだよ」
「未来の可能性は無限にあるぞ。ボールを投げなければポケモンは捕まえられない、そうだろ?」
「言いたいことは分かるんだけどなあ」
 キバナの静かな水色の瞳は、ヘッドバンドの下で陰って溜息を募らせた。チャンピオンは真っ直ぐに一人一人の顔を覚えようとひたむきだ。いつか誰かが頂きを目指して王冠に手を伸ばしてくれるのを、言葉通り楽しみにしている。
「どれも上がれねえな」
「見込みが無いと言いきる気か?」
「ああ。オレが居る。それだけが理由だ」
 彼の猛る眼差しを奪いさって頂点を奪うのは、スタジアムの土を膝につけさせるのは、全て己の手で成し遂げてみせる。キバナの餓える願望は未だ果たされない。暴君の牙先は栄光の王者に届かずにいた。だから、誰にも邪魔はさせるつもりはない。
 チャンピオンは答えない。最高のライバルをこうも言わしめて、きっとそうなると言う確信があるからこそ沈黙を以て、ただ最後に待っていると王冠を被り直した。
20200119=21:28=====end
20200122=21:33=====start
 
 トントントントン………。
 ナックルジムの一室には、トレーナーたちの育成状況やポケモンたちの健康管理を兼ねるための事務室が設けられている。一番奥の大きな席がキバナの居場所だ。スタジアムでバトルに沸き立つ以外では宝物庫管理の帳面もつけなくてはならない番人は、意外にも事務作業に加担していることが多い。ワイルドエリアに行けるほうが少ないだろう。
 キバナはしっかりとしたクッションに背中を預けながら椅子に深々と腰掛けて、ぼんやりとした様子で肘掛を人差し指で叩いていた。
「……」
「あの、キバナ様」
 神経質な人差し指が奏でる一定の警告音に、リョウタは溜息をこぼしながら抱えていた書類をデスクへと置く。キバナは、んー、と生返事をしながら組んだ脚を揺らした。
 ローズ委員長の渡してきた書面には観客へのバトルデモンストレーションの指示が記されている。毎年恒例だ、もう慣れた内容ではあったが、こうしてスタッフに周知するよう毎年きちんと配られていた。──毎年同じなら配る必要などあるのだろうか。変わらない内容をリョウタがちゃんと目を通すのをただ見守る男は、荒れ狂う嵐など持ち合わせていないように静かに椅子におさまっている。
「どうされたのです?」
「んー?」
「……考え事をされているようでしたので」
「別に、オレサマはなんともないぜ」
「では周りのトレーナーに威圧でも?」
 肘掛に置いていた手を指さされ、ようやく気付いた様子で居住まいを正したキバナに、話すつもりが無いのだと悟ったリョウタはキバナの分の書類を渡して部屋を出て行ってしまう。それにさえ、不思議そうに見送ったキバナが心当たりを浮かべることは無かった。
 またしても思考に埋もれる。
 ──あれからダンデのリアクションが無い。そもそもお互いにちょうど忙しくなる時期でもあったし、互いに何くれと話すとて、個人的な悩みを相談したことは無かった。最後に話したのは……ちょうどナックルシティへ来ていたダンデと取り巻きのファンを見かけたのが最後だ。
 宝物庫から歩いて来たキバナに気付いたファンが黄色い声をあげ、輪の中心に居たダンデとキバナは目が合った。ニカッとチャンピオンスマイルを浮かべた彼へ、キバナは軽く手を挙げて通り過ぎた。ファンサービスの邪魔したら悪いと思うよりも、未だあの日の真実を追求出来ずにいる自分自身の後ろめたさが強すぎて、喉奥が苦しくなる。
 静謐な石造りの街並みは心を落ち着かせるのに丁度良い。切り取られた空を見上げて、どうしてこんなにも話を切り出すのを恐れているのかと向き合う。当然だ。彼に傷をつけるのはマウンドの、スタジアムの上で無ければならない。それ以外の方法でどうやって同じ土俵に居られるだろう?
20200122=22:01=====end
ありがとうございました。
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ぽちぽち書くkbdn
初公開日: 2020年01月17日
最終更新日: 2020年01月22日
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pkmnのkbdn。話の流れに沿いつつ細かい所は省き、書きたいシーンを個別に書いていきます。
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