こないだから読み始めた「妖術 紛争・疑惑・呪詛の世界」がかなり古い本で言い回しも古めかしく、正直言って読みづらいのと、こっちのほうが気になって仕方ないということでいったん中断して読み始めた「エイリアン・ベッドフェロウズ」ですが、これがえらく面白い。
そもそもこの本をどうやって知ったかなんですが、「ガイノイド」という言葉の初出を辿っていくうちに、バロッカー同志しおのりさんの協力の元行き着きました。
「ガイノイド」の初出はSF作家ギネス・ジョーンズの「聖なる堅忍」なる作品だそうなんですが、これは未翻訳。で、この作品に言及している研究やコラムを探していった先に最終的に行き着いたわけです。
本作の著者である小谷真理氏は、「猫と少女とガイノイドーーギネス・ジョーンズ『聖なる容忍』を読む」という論考を「翻訳の世界」という雑誌に掲載してるという情報をいただきました。その号は欠号となっているものの、この部分は大幅に加筆修正されて「エイリアン・ベッドフェロウズ」所収となっている事がわかったのでさっそくamazonで即ポチ。
さて本作は、いわゆるフェミニズム観点からさまざまなSF作品を論考したSF作品ガイドブック。
わたくし人形使いが本を読む理由のひとつが「新しい視点がほしい」があるんですが、フェミニズム観点からSFを見たことがなかったのでまさに新しい視点が得られた気分です。
まだまだ読み始めたばかりですが、特にはっとしたのはいわゆる終末SFにおいて、被造物が創造主たる人類を超えて新たな支配者になるという流れはいわゆる「父殺し」であり、「家父長的進化論の極北」としての被造物が新たな神になるというくだり。確かに被造物が造物主を殺してその地位を簒奪し、やがては人類が滅び去ったあとの世界を支配するという流れは「父殺し」であり、それは男性性主体の物語構造なんだなと理解しました。
そして本書では、SNSでさんざん見るような安直な男性性の否定に走らず、じゃあ女性性は終末世界でどのように機能し描かれているのかまでわかりやすく論考しているのが実に面白い。男女の機能性の違いからSF作品にこういう切り込み方ができるのか!と勉強になりました。そして同時進行で読んでいる聖書と呼応する部分もあってこれまた面白い。大当たりの一冊です。