さっき書こうとしてかけなかった。
あっちは放置して、書き始める。
自分の気持ちを盛り上げようとすると書けなくなる。
一番いいのはテンプレから作ること。
昨日書いたのは追放ものを書こうとした。
虐げ→溺愛っぽいのは書いたことがある。
婚約破棄もあり、
悪役令嬢もある。
お仕事もの流行りだけど、無理なんだよねぇ。
シンデレラで行くかなあ。
これ、2つくらい書いたことあるからな。
何にも浮かばないよー。
ネタが降ってこなかった。でも書きたい。
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ただ愛されたいだけだった。
彼に。
だけど彼が好きなのは、私の姉だった。
薬を盛って、私は彼を寝取った。
正気に返って、彼は私を拒絶したけど、もう遅い。
姉はショックを受けた。
両親は私を詰ったが、彼の両親はちょっと違った。
私が彼の子を孕んでいる可能性があるとかで、彼の婚約者が私にすり替わった。
姉は気持ちを切り替えるために、母の両親のいる隣国へ留学した。
そこで彼女は王子に見染められ、そのまま結婚。
私は、結局子を成してなかったけど、私が仕掛けたとはいえ、彼は姉を裏切った形になったので、そのまま私と結婚。
だけど、家は彼の弟が継いだ。
私と彼は家を追い出され、暮らすことになった。
私も彼も貴族として暮らしていただけで、生活力がなかった。
生活が困窮するのは早く、彼は私を娼館に売った。
人さらいのようなものだった。
悲鳴を上げても誰も助けくれなかった。
娼館は酷い場所だった。
客も酷かったけど、いわゆる同僚である娼婦たちも私に冷たかった。
姉の婚約者を寝取った話は広がっていたこともあるし、私が貴族であったことも彼女たちは気に入らなかったみたいだ。
心が壊れていき、体もとうとう壊れてしまった。
寝たきりの暮らし、食べ物をなくなり、いよいよ死ぬかなと思い始めた時、訪ねてきた人がいた。
それは姉だった。
「ソニア!」
嫌われていると思っていた。
再会したら、きっとざまあみろって言うはずだと思っていた。
だけど、姉は泣きながら私を抱きしめた。
「なんで、こんなことに。私はあなたがこんな風になることを望んでなかった」
姉に拾われ、私は娼館から救いだされた。
お医者さんにもう治らない病気で、先は短いと言われた。
自業自得だと思う。
私は笑う。
「なぜ、笑う?」
医者は訪ねる。
「だって、おかしいでしょ?」
医者は顔を顰めた。
私は嫌われ者。
誰にも好かれない。
だから死んで当然。
「食べろ」
医者はそんな私に食事を進める。
「いらない。どうせ死ぬんでしょ?」
「少しでも生きたくないのか?」
「うん。もう死にたい。楽に死にたい」
「……死ぬ前にやりたいことはないのか?」
「ない。あ、」
誰かに愛されたい。
そんな馬鹿な望みを言いそうになって口を閉じた。
「なんだ?」
「なんでもないわ」
それから毎日医者は同じ質問をする。
その後に無理やり私の口に甘い何かをスプーンで食べさせる。
とても甘くて、それだけは咀嚼してしまう。
「美味しいか?」
うん、と言いたいけど何か悔しくて言えない。
「ソニア。死ぬ前に何かしたいことは本当にないのか?」
「……ある。っていうかしてほしいことがある」
「俺にできそうなことか?」
「愛してほしい」
そう答えると医者は黙った。
そしていなくなった。
「ソニア、これをやる」
「花束?」
「愛するってことは俺にはわからん。だけど愛する人には花束を贈るものだと聞いたから」
「ありがとう」
彼は私を愛していない。
だけど、努力しようとしてくれたことが嬉しくて涙がでた。
「ソニア」
「ありがとう。ううん。十分」
私が勝手に愛して、姉から奪った彼は私に花束なんてくれなかった。
当たり前。
彼は私を愛していなかったから。
店の客も誰一人花束なんてくれなかった。
それは当然。
お客だから。
彼は花束をくれた。
私の「愛してほしい」という願いをかなえようとして。
「あの、お姉様を呼んでもらってもいい?時間がある時でいいから」
「いいぞ」
翌日には、姉は訪ねてきた。
「お姉様。本当にごめんなさい。私があなたの人生を変えてしまった」
「ソニア。謝らなくていいの。今、私幸せだから」
姉は微笑む。
愛されている人は違う。
ドス黒い感情がジワリとしみだしてくる。
だけど、ふと私に視線を向ける、彼を見たら、その感情が引っ込んだ。
彼は優しい目をして私を見ていた。
それから、私は食事をとるようにした。
彼が来たら、できるだけ話をしようとした。
彼の話を聞こうとした。
「……もう」
二か月後、私はベッドから起き上がれなくなった。
寝る時間が多くなって、現実と夢の区別がつかなくなった。
「ソニア」
彼が優しく私の名を呼び、手を握る。
夢、きっと夢。
「ソニア。愛してる」
そんな彼の声が聞こえた気がしたけど、きっと夢に違いない。
「……ジーノ」
彼の名を呼ぶ。
「あ、りがとう」
彼が私を愛してくれている、そんな幻想を持たせてくれた彼には感謝しかない。
「ソニア。目を開けろ」
耳もとではっきり声がして、目を一生懸命開けた。
彼は直ぐ傍にいた。
「ソニア。君は愛されていた。この俺に」
「う、そ」
「本当だ。最初は本当に嫌な女だと思ったけど、君と話しているうちに気持ちが変わっていった」
ぼんやりと見える彼はまっすぐ私を見ているみたい。
表情までわからない。
きっと、彼は私がもう死ぬと知ってるからそんなこと言ってくれている。
「あ、ありがとう」
私は愛されたかった。
彼はその願いを叶えてくれようとしている。
ありがとう。
私は色々な人に迷惑をかけてきた。
愛されないのは当然。
だけど、彼は同情からか、私の願いを叶えようとしてくれてる。
ありがとう。
その気持ちだけで私は救われた気がした。
気が遠くなり、彼の顔が見えなくなった。
だけど、手を握ってくれている彼の温かさ、優しさは伝わってくる。
ありがとう。ジーノ。
愛されたかった。
それだけで、私は行動を起こした。
最後は惨めに死ぬだけだったのに、最後の最後で彼は私に優しさをくれた。
それは愛、って言ってもいいかもしれない。
(おしまい)