いよいよ塚口サンサン劇場での劇場最大規模イベントのひとつである「バーフバリエピック」マサラ上映が近づいてきました。しかしそれ以外にも見たい映画は山ほどある上に今週木曜で上映終了してしまうので1日を3495948時間にしてください。
 さておき、今日は宇宙が舞台の作品が豪華二本立て!
 まずはこの作品!
 「哀れなるものたち」での奇妙かつアイロニックかつコミカルな作風でわたくし人形使いの心の当たり判定を撃ち抜いてくれたヨルゴス・ランティモス監督の最新作。
 どうやら韓国映画「地球を守れ!」のリメイク作品でそうですがそちらは未見。ランティモス監督の奇妙でおかしな世界観、要するに「変な映画臭」がトレーラーから漂ってきたので見てみることに。
 人気絶頂の女性CEO、ミシェル・フラー。そんなミシェルを付け狙う二人組がいました。テディとその従兄弟ドンは、自らが心酔する陰謀論に基づきミシェルを地球侵略に来たアンドロメダ星人だと断定、誘拐に及びます。催眠スプレーで気絶させられたミシェルは頭髪を剃り落とされ、テディの家に監禁されてしまいます。
 ミシェルを頑なに宇宙人と信じて疑わないテディ、理論と知恵でテディを説き伏せようとするミシェル。平行線をたどり続ける両者の諍いの行き着く先は――。
 いやー変な映画だった。
 ミシェルとテディの両者は自分の主張で相手を論破しようとするんですが、それがもうぜんぜん噛み合ってなくてほんとにずーっと平行線。それが2時間続きます。要するにこれってSNS上での不毛なレスバの映画化なんですよね。なんでそんなもん映画化したんだよ……。
 もちろんそのレスバはなんらかの建設的な結論にたどり着くわけではなく、ブロックして終わりということにもできず。その意味では本作は、不毛なレスバの行き着く先を映像化したものだとも言えるでしょう。だからなんでそんなもん映像化して2時間の映画化できるんだよ。
 登場人物もキャラクターと言うよりレスバにおけるスタンスの擬人化に感じられました。テディはもちろん「陰謀論にハマってるサイド」の擬人化なわけですが、言ってることが全部どっかで聞いたようなことばかりで具体性がなく抽象的、やることが極端で過激、そして表面上は冷静で紳士的な態度をとってますよという外面を取り繕おうとしてるけどぜんぜんできてない、ってところまで陰謀論にハマってる人の特徴を集めてあまりにも理想的な「典型的な陰謀論者」の姿を作ってるのがすごい。
 そしてこのテディ、少し前に見た「エディントンへようこそ」に出てたようなカルト教団のリーダーとかカルト教団の信徒とかではなく、自宅で従兄弟と二人で陰謀論に没入しているというのがまた滑稽さと悲しさを増しています。ドンは自己主張が乏しくほとんどテディのいいなりのようなものなので、テディがやってることはもうほとんど彼の一人芝居なんですよね。最小の集団単位である「ふたり」ですらなく、なんらかのコミュニティに属しているわけでもなく、集団にすらなれず、ひたすら自分の頭の中でエコーチェンバーし続けているという。
 一方でミシェルはCEOとしての手練手管でどうにかテディを説得・論破しようとしますが、SNS上でもそうであるようにそもそもこういう手合を説得・論破しようとした時点で負けなので、なだめすかしても危険性を説いても全部無駄。これもまたSNSでレスバをやめられない人の擬人化だと思います。
 ただ、この二人は実は過去に因縁があり、テディの母はかつてミシェルの経営している会社が制作した新薬での治療を受けており、それが失敗したようなんですね。なのでテディとミシェルの関係性は、単に急進企業のCEOvs孤独な陰謀論者という属性的な対立のみならず個人的な対立もあるという。むしろテディからすればこの個人的な恨みのほうがミシェルに対する感情の核であり、陰謀論への傾倒はそれを補強するガワでしかないんじゃなかろうか。そしていちばん身近でコントロールしやすい従兄弟のドンをそれに巻き込むことで自己正当化しようとしているように感じられます。
 最終的にテディは言葉巧みにミシェルに誘導されて彼女の会社に連れ込まれ幽閉されて、この騒動は結局ミシェルの勝ち――というのがわたくし一般人である人形使いの予想するラストでしたが、ランティモス監督は違ったッ!
 ミシェルは本物の宇宙人でアンドロメダ星人の皇帝でした! 地球人がどうしようもない種族であることを確認したミシェルは地球人類を一瞬にして絶滅させたのでした! みんな大好き人類滅亡エンド!!
 こんなん予想できるわけないだろ。この流れでこのオチを本当にやってしまうランティモス監督の度胸にカンパイ。あとレスバの行き着く先はこれなのでレスバはやめようね。
 最後にこれは言っておきたい。宇宙船のデザインが超カッコイイのでそういうのが好きな人はそれ見たさに見に行く価値があります。
 続けて2本目は、youtube配信されるやいなやそのレトロフューチャーな世界観と会話劇に爆発的な人気を博した「銀河特急 ミルキー☆サブウェイ」の劇場版総集編。全12話に加えて合間合間に新規シーンが挿入されています。
 元が3分半のショートアニメなので上映時間は46分。こうやって総集編として見てるとまさに爆走する銀河特急と言った感じ。
 今回はせっかくだからプレミアムシアターで見たんですが、まず感じたのは音声の違い。
 チハルたち生身の強化人間やリョーコのような普通の人間とカートたちサイボーグの声の違いが、明瞭に聞こえる生身の声とノイズ混じりのスピーカーから聞こえる声という感じではっきり違って聞こえました。
 あとチハルの瞳孔の大きさが頻繁に変わっててネコっぽくてかわいい。
 総集編には単にシリーズを連続で見るのとはまた違うテンポの良さがありますが、本作は前述の通り1話が短いのでそのテンポの良さの恩恵を存分に受けていると感じました。合間に挿入されている新規パートもそのテンポを阻害しないので見ててストレスもありません。
 そしてその新規パートでリョーコの……否、リョーコ姐さんの株が爆上がりですよ。ああいうキャラは上司と喧嘩してなんぼです。過去のエピソードとか出ないかな。
 アカネちゃんの「カナターッ!」が劇場の高音質のスピーカーからほとばしるので毎回笑ってしまいました。特に男子トイレのアレ。
 しかしまあ卒業制作から劇場アニメまで行くとはすごい作品ですよ本作。そして難解なイメージが先行しがちで避けられやすいSFというジャンルに人を集めたという点でもすごい作品です。次回作も楽しみだし続編が出てもよし。
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TOHOシネマズ梅田「ブゴニア」「銀河特急 ミルキー☆サブウェイ 各駅停車劇場行き」見てきました!
初公開日: 2026年02月16日
最終更新日: 2026年02月17日
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