連続で何本も映画を見ようとすると微妙に時間が被ってしまうのでパズルゲーになってしまうのは映画好きあるあるですよね。
 なので今日は結局1本しか見ませんでしたが今週はあと4本くらい見に行きたい。というわけで今日見てきたのはこれ!
 なんか今月は本作や「フレワカ」「おさるのベン」などがホラーが大豊作な予感。そしてそのうちカルト教団ムービーが多くて俺によし。もっと増えろカルト教団ムービー。
 本作は予告を見た時点で心の妖怪アンテナが激しく反応したので鑑賞確定。こういうときの妖怪アンテナの精度は98%なので当たりを確信して見に行きましたが完全に当たりでした。信じて!
 同棲生活のために山奥の田舎に引っ越してきたティムとミリー。二人は一見仲睦まじいカップルですが、どこかすれ違いが生じています。そんなギクシャクした空気を抱えたまま新生活を始めた二人は、山の中を探検に行った際に謎の穴に転落してしまいます。
 なんとか穴から脱出する二人ですが、その日を境にふたりはお互いの肉体が磁石のように引き合い癒着してしまうという異常事態に襲われます。その異常が日に日に強くなって行く中、ティムは自分たちと同じように穴に転落してい行方不明になっているカップルがいることを突き止めます。この異常の原因がこの穴にあると判断したティムは一人、その穴の中に足を踏み入れます。そこでティムが見たものとは? そしてこの異常の原因は? ふたりはどうなってしまうのか?
 いきなりネタバレしますが本作のラストは一言で言うと「必ず最後に愛は勝つ」でした。この展開でハッピーエンドになることってあるんだ……とボーゼンとなってしまいました。
 わたくし人形使いはしばしばインド映画の感想で「普通の映画が想定しているエンドラインのその先まで書いている」と感じることがあります。本作はまさに、こちらが想定しているエンドラインの先まで書いていました。
 ネタバレしますが、本作を見た人はたぶん100人中99人はレコードがかかるところで暗転してスタッフロール、という流れを想像すると思います。しかし本作はそこからさらに先を描いており、まさかのハッピーエンド! 愛し合う二人はいつもいっしょ! なんでだよ?
 しかもキービジュアルである二人の目が今にもくっつきそうなあのシーンをそこに持ってくるか!?と驚きました。意外性という点ではトップクラスの驚きが得られたと思います。
 映画というのはそもそも「現実では見えないものを可視化する」という側面がありますが、本作が可視化したのは「距離感」でしょう。
 よく「距離感がバグってる」なんて言いますが、本作はまさにその「バグった距離感」をビジュアルとして見せている作品です。心は離れているのに肉体は引き合う、心は引き合っているのに肉体を離さなければならない、そして最終的には距離そのものがゼロになる。
 ティムとミリーは冒頭から徹底してすれ違っていることが描写されています。引っ越し前のパーティでのミリーのプロポーズに応じられないティム、お互いを求めるタイミングが合わずにセックスレスが続いているふたり、ロックスターを夢見るティムを支えて「あげてる」という自認のミリー。
 このすれ違いが皮肉にも歯車の凹凸のように悪い方向にがっちり噛み合っててパーフェクトにうまく行ってないしどんどん悪くなる。そしてなにがちばん悪いかって、このふたり中盤くらいまでとにかく外面を取り繕っててぜんぜん本音を言わないんですよね。ケンカすらしない、できない。
 「距離感がバグってる」というのは大抵の場合「距離感が近すぎる」という意味ですが、この二人の場合はとにかく距離感が掴めてない。さらにそこに前述の異常事態のせいで物理的にも精神的にも距離感が制御できなくなってしまうという。
 しかしこれまた前述の通り、本作はハッピーエンドなんですよね。二人はこの異常な状況を解決するという共通の目的のために必死に協力する。つまり「適切な距離感が掴めていなかったふたりが困難に直面してそれを乗り越えそしてハッピーエンド」なんですよ本作のストーリーラインって。しかもラストはプロポーズのやり直しからの二人きりの結婚式ですよ。だからなんでこれでハッピーエンドなんだよ? 考えてみればくっついた手を切り離すあのシーン、二人の初めての共同作業でケーキカットなのでは!?
 そしてあのヘンな感動すら覚えるあのラスト。そりゃあ作中で二人は希少な「完全体」になれる素養を持っていることは説明されてましたが、そんなに完璧に成功するんだ……とボーゼンとなってしまいました。本作、期待してたものをきっちり出してくれた上に意外性のあるラストまで提供してくれた良作だと思います。
 なお犬が無事ではないのでそのへんは気をつけましょう。
 
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