▶甘酸っぱいGL
⇨春、カフェ、告白
甘酸っぱい⇨喜びや楽しさ(甘さ)の中に、切なさ、恥ずかしさ、あるいはほろ苦い後悔(酸っぱさ)が混じった、心の奥がキュッとするような感覚を指す
▶タイトルを考える
酸いも甘いも溶けてゆく
麗らかな春光が差すレトロな店内に、春愁だけが空っぽになったお皿の上で渦巻いていた。
渦巻き続けるそれから逃げるようにメニュー表を開き、大きめの苺が乗り、周りに柔らかなホイップが包む小さなパフェが変わるようにして視界へ入る。一目見て、欲しいと感じたものを白く細い指で撫で、店員を呼ぶ為の呼び鈴に手を重ねようとした瞬間、どこか聞き覚えのある声が耳へ響く。
私はそれに胸が高鳴るような、全身の毛穴がいきり立つようなものを感じた。
「…ごめん、待った?」
慌ててメニュー表を閉じ、振り向いてやや遅れた彼女をその瞳に焼きつけた。
「いや、全然!電車とか混んでたの?」
「うん……何か食べた?」
「あー…フルーツトマトの、冷麺パスタ…かな」
「美味しそう!私もそれ、頼んでいい?」
「いいよ、とっても美味しかった」
私のその言葉に彼女は穏やかな聖母のような微笑みを見せ、艷やかな黒髪の間の心を射抜くような瞳で私を差した。
その瞳に、ふわふわとした卵のオムライスや私も彼女も大好きなハンバーグが映る度に、そこに私がいないことに薄く霧がかかったような感覚に襲われた。
やがて、彼女は顔をあげて呼び鈴に手を伸ばした。
仄かな甘さと酸っぱさが口の中で手を取り、踊り続けている。
それが心の奥底で、嗤っているような気がしてなんとも腹立たしかった。
ふと、彼女がパスタを口に運ぶ手を止めて、私の方を見た。
「話って、なに?」
その興味を持つ可愛らしい猫の姿に、私は自然と口角が歪むようなものをなんとか堪えた。
こちらをしかと見る瞳。待ち望み続けたそれが手に入りそうだと言うのに、ほんの少しの羞恥心と恐怖に声が支配されそうになる。それすらも私は捻じ伏せるように、言葉をはっきりと絞り出した。
「…同性で、こんなことを言うのは…嫌だと感じるかもしれないんだけど……」
そのまま、言葉を紡ぐつもりだった。
しかし、それは彼女の手によって塞がれ、私は瞼で何回も同じ動作を繰り返した。
彼女はやや顔を俯かせ、耳まで赤らめて、ようやく言葉を小さな口から流した。
「…やだ」
その絞り出された言葉に私は目を見開いた。
まるで、立派に築かれた建物がボロボロと崩れていくような喪失感と深い絶望に苛まれていくようだった。
もう既に口の中に甘さは奥へ奥へと逃げ込んでしまっていた。
「やだって、それって…!」
「ち、違うの、そういう…ことじゃなくて……“はじめから”は私が言いたいの」
その言葉を聞いた瞬間、私の口の中で逃げ込んだ甘さは再度、ゆっくりと味わいを取り戻した。
今は、この目の前の恋人が愛しくて、愛しくて堪らなかった。
ということで終わりましたので軽く独り言な雑談を。
ばばっと書いたは良いですが、恋愛小説は一切読んだことがありません。
悲しいですね。甘酸っぱいGLってなんでしょうね。
まぁ、そんなことはどうでもよくてそろそろ締めましょうね。
お疲れ様でした、ただの短編でした。
良いお年を。