「塵塚ウバメ片手袋合同」感想、後半戦です。
 エクストリーム今更なんですが、合同誌の感想を書いたときって主催の人だけじゃなくてどうせなら参加者全員に感想書きましたって連絡したほうがいいよな。日々発見です。
・塵塚ウバメ片手袋合同 払わぬ袖に塵が降る(折葉坂三番地)
 さて後半戦です。残り9作品もバラエティ豊かな作品となっています。
・王と姫と幻のグローブ(蛍光流動氏)
 手袋=グローブということでこっちのグローブを出した時点でもう勝ちです。こうした合同誌では予想外のネタが楽しみのひとつですが、完全に予想外の方向からパンチが飛んできました。ラストのオチも好き。
・稀有なる宴(水之江めがね氏)
 コミュニティとしての山姥の描写が圧巻の一作。また個人的に、食べ物を食べるときの擬音が「むつむつ」なのがなんというか、「生に近い食べ物を食べてる感」を感じられて面白かったです。
・imperfect BLUE(人形使い氏)
 拙作。
 うーん正直微妙。「塵塚ウバメは塵のごとく雑多な情報の集合体で強固な『逸話』を持つような妖怪に比べてその存在自体が脆い」みたいなことをやりたかったような気がする。あと資料として読んでた「塵塚物語」は結局使いませんでした。トホホ。
・ライジングサン(.tog氏)
 わずか4ページの中にこれだけの情報量を詰め込めるもんなんだなあ……と感嘆してしまった1作。片手袋に直接言及せず、この合同誌のコンセプトである「ウバメは片手袋をしているという集団幻覚」を一種のマンデラ効果として解釈した独自視点が魅力です。
・アイデンティティ-片手袋と危機(星原渚氏)
 「本作の作品世界は錦上京体験版であって製品版でどうなるかは不確定の状態でさまざまな可能性が混在している」という解釈で書かれたスラップスティックSF。この「製品版が出るまでの楽しみだからやりたい放題やってまえ」の精神好き。
・山姥与太話(真坂野まさか氏)
 山姥をいわゆる「穢れ」を扱う存在への畏怖や忌避感の具現化であるとしたうえで、「手袋を着けている=手を汚さない例外的な存在」という解釈を引き出しておきながらすべてを台無しにする馴子ちゃんの台無し力(ぢから)よ。
・塵塚怪奇譚(驢生二文鎮氏)
 山姥という妖怪の出自にはいろいろあるようですが、本作はその出自に身分卑しからぬ存在であったという説を持ってきた一作。対するキャラが阿求というのがまたうまい。ウバメさんの京言葉と歌に対する教養の深さが魅力的。
・失われた塵の王国(銅折葉氏)
 もう一人の山姥であるネムノを配置して、「道具を使いこなすか否か」という境界線を設けることで両者を差別化しつつ、体験版の展開につなげてるのが見事。片手袋の出自もまた山姥の伝説から引用しているので説得力があります。
・錦上京の真実(転寝すのあ氏)
 なんかおかしいとは思ってたんですよね。収まりとしては主催である折葉氏の作品を最後に配置するのがバランスがいいはずじゃないですか。にも関わらず意味ありげにラストから1作分ずらしてある。本合同誌の最後を飾る本作はメタネタ満載のとんでもない作品でした。あまりにもやりたい放題すぎるし片手袋のキャラがやたら立ってて笑えました。
 今日はここまで。
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第21回東方紅楼夢新刊レビューその7-2
初公開日: 2025年11月28日
最終更新日: 2025年11月28日
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