今週の木曜から年末にかけて各所で見たい作品がどんどん上映される上に来年はもうすでに2026年最大の注目作である「プロジェクト・ヘイル・メアリー」があるのでもはや一秒の余裕もない。
というわけで今日は豪華2本立て!
まず1本目はこれ!
これまた前日書いた「名前はさんざん聞くけど作品は未鑑賞」という作品のひとつ。そしれこれまた今回スクリーンで、しかもドルビーシネマで上映されるということでさっそく見てきました。
誰もいない中世風の街並み。そこにひとり暮らす少女は、日夜水を汲み、そして謎の卵を温めるという日々を過ごしていました。そんな少女の前に、異形の戦車に乗った少年が現れます。十字架のような巨大な銃を持った少年は、少女に卵の中にはなにがあるのかを問いかけます。
少女の持つ卵の中にはなにがあるのか。そしてこの世界はなんなのか。卵が割れる時、その謎は明かされるのか。
先日の「うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー」と続けて見たせいか、なんだか押井作品って、ガワは違えど根底にあるものは常に同じことを語ってる気がしました。特に本作と「ビューティフル・ドリーマー」は、いわば味付けはかなり異なるもののメニューとしては同じもののような気がする……。あとやはりというかなんというか聖書からの引用もあるしな。というか本作のひとつの側面は明白にノアの箱舟だし。
とはいえ本作は「ビューティフル・ドリーマー」に比べると極端に抽象的で難解な作品です。今こうして感想を書いてても、明白な解釈はなかなか出てこないので、先にほかのところの感想を書きましょうか。
まずはその圧倒的なビジュアル。アートディレクションを務めるのがゲーマーなら誰もが知るあのFFの天野喜孝。わたくし人形使いは前述の通り本作は初見でしたが、「天野喜孝の絵って動かせるんだ……」という感動と驚きがありました。以前見た「吸血鬼ハンターD」でも思いましたが、やっぱりすげーよセルアニメは……。
本作のビジュアルはもう「妖美」の一言。白皙の少女、異形の戦車、人気のない街並み、影のみの巨大魚、方舟……。ひとつひとつのシーンが絵画や宗教画の如き情報量と意味を持って迫ってくるよう。これらに込められた意味をひとつひとつ紐解いていくのはなかなか難しそう。この感想を書くまでは解説やwikiは見ないぞ。
そして個人的に本作の世界観、特にそこにある特徴的な寂寥感を強調していたのが効果音だったと思います。少女の足音、瓶がこすれ合う音、水音などなど、本作はビジュアルだけでなく効果音にもかなり力を入れていた気がします。
音といえば、本作では意図的なものかどうなのかわかりませんが、昔の映像作品によくあるホワイトノイズが乗っています。これが言葉少なな本作の沈黙を静かに彩っていてよかった。スペクタクルな展開もありますが、本作はどちらかと言うと「静」の比率が大きいので、このホワイトノイズが隠し味的な役割を果たしていたと感じました。
そして本作の解釈ですが……うーん難しい。
卵を抱えた少女の姿はストレートに妊娠を想起させますが、ではそこからつながる出産がなされたのかと言うと、少女の卵は少年によって割られてしまっている。
作中を通して卵は常に画面に登場しますが、結局「卵からなにかが生まれる」という描写はない。それに対して「卵の中に何かがいる」という描写はある。
これと、終盤で崖から落ちた少女が水中でこぼした吐息がたくさんの卵(のような物体)になるッ描写を見るに、本作からは「流産」のイメージを感じるような気がする。洪水も羊水をイメージしてるような気がするんだよな……。
本作はノアの箱舟の逸話を下敷きにしていることは明白ですが、では少年と少女は洪水で洗い流されたあとの新天地を発見したのかと言うとそうではない。なにも生まれてはいないのに対し、浜辺を埋め尽くす白い羽は天使の残した死骸のようにも思えるし……うーん。
本作はやはり難解なので、解説を見たあとでもう1回くらいは見たいもの。
次、2本目はこの作品!
月1エヴァ、もう少し長い期間やってくれないかなあと思っている間に終映日ですよ。
怒涛の如きクソでかため息だった旧劇場版に続くは、さまざまな設定を刷新した新劇場版!
本作がもう18年前の作品ということには全力で目をつぶって見てきました。
綾波いいいいいいいいい!!!!!
すいません発作が。
「序」はTVシリーズ前半部分の山場であり、綾波の魅力を不動のものにしたヤシマ作戦までを描きます。
改めてこうして「序」を見ると、初めて見たときの「おお……あのエヴァが正統派ロボットアニメになっている……」という驚きを思い出しました。さまざまな能力を持った敵が出現する→それに応じて作戦を立てて撃破するって流れなんだよな。
でもこのあとにあの「Q」があるんだよなあ……と思うとフクザツな気分になります。
改めて見るとやや急ぎ足感も感じますが、TVシリーズ前半部分をまとめるのには十分と言えるでしょう。難解な用語や設定は健在ではあるものの、よりわかりやすくなっているのがわかりますし、ここからエヴァに触れてみるという人にも新劇場版はわかりやすいと思います。
「序」ではやはりTVシリーズから大幅に芸達者になった第6の使徒が見どころですね。「序」では既存の使徒のデザインが全体的に刷新されており、より「得体のしれない敵」感が強くなってて好き。続く「破」では新規デザインの使徒が数多く登場しますが、個人的にはやはり既存の使徒のデザインが馴染み深くて好きですね。
そしてやっぱりシンジ君に無茶言い過ぎだよエヴァ世界の大人たちはよう……と思わざるを得ない。特に、ゲンドウは言わずもがなミサトさんの言動は改めて見るとけっこう理不尽なんだよな……。でもシンエヴァまで見たあとだと、ここのすれ違いが収束するべきところに収束するのがこの新劇場版の方向性なんだよなあとも思います。
しかし本作、完結まで長くかかったこととそれまでにファン層が入れ替わっていったり作品を取り巻く環境が大きく変わってたりするので、やはり見るたびに違う印象を受けるもの。あれだけ物議を醸した「Q」もまた、今見るとどんな感想になるのか楽しみです。