目標 1000字くらいのなんかええ感じの夏な話が書きたい
→約1200文字。目標達成。やったね!
これにて配信終了。お疲れ様でした!!
タイトル『寄せて引いてふりきって』
白い泡を連れた波が人懐っこく寄ってきて、素骨の足を濡らす。引く波につられて、足まわりの白い砂がじゅわりと動く。なんとも独特な感触が気持ち良い。
波を出し続けるモトを探して水平線を見ると、改めて水の多さに圧倒される。こんなに沢山の水が「光」の力だけでここまでヌルくなるなんて、マカフシギとしか言いようがない。
おろしたての白いハーフパンツと赤いアロハシャツをもう少しの間だけ汚さないように。気をつけながらしゃがんで、波の泡と砂面を触る。
寄せては引き、寄せては引き。波は素手まわりの砂を手の届かない場所へと連れて行く。
試しに、白泡の中で白砂を強く握りしめる。
あたたかく、やわらかく、やさしそうで、なかよくなれそうなのに。ふわふわの小さな泡たちは白い骨の隙間という隙間から、失いたくない白砂を容赦なしに
奪っていった。
寄せては引き、寄せては引き、繰り返しているのに。手の中にあった砂はちっとも戻ってきてくれなくて、少しずつ少しずつ減っていって、
なんだか、ちょっと、息が──
「パピルスーーー!!
スイカ割りの準備手伝って!!
じゃないとボクがパピルスの分も食べちゃうよ!」
「heh… そこは『割っちゃうよ』じゃないか?」
「ボクがスイカを叩くと地球まで割れちゃうから」
「そいつは"こ割っちゃう"ね。親善大使様のささやかな不祥事がゴシップ誌に載っちまう」
「ち、ちち地球が割れてもゴシップ誌を出すのって、一周回って尊敬するかも……
あああとノーコン組のわたしとフリスクの分までスイカを割ってくれるみんなと、アンダインも……尊敬するっていうか。格好いいっていうか、惚れ直しちゃうっていうか……!」
「まかせろ!! わたしたちがこの棍棒で完膚なきまでにスイカどもを倒してやる! タネひとつ残してやるものか!!
なっ、アズゴア!」
「ええと。種も身も残したほうが、スイカさんは怖がらないんじゃないかな。
優しく割ってあげると、きっと甘くなってくれるさ」
「ほらみんな、こっちへいらっしゃい。
シートがひけたから、次はクーラーボックスからスイカを出して並べましょう。……一緒に入っているワインはそのままにしといてね」
海から吹くシオカゼ──
さっき兄ちゃんが教えてくれた名前の風に、負けることなく。みんなの声がここまで届いた。
立ち上がって振り返ると同時に、
小さくて、温かくて、柔らかくて、優しくて、仲良くなれた、大切な友だちにハグされる。
「ほら、行こうパピルス!」
薄橙色の肌に覆われた手が肌のない骨の手を引き、素足が乾いた砂を踏んだ。
濡れている足に白砂が貼り付き、骨の隙間に入り込む。
友だちに引き上げられた今、骨々は波に揉まれていたからこそ、白砂を掴んで離さない。
少し不自由なその感触は、
なんだか、ちょっと──
息がしやすかった。
『寄せて引いてふりきって』完