今週は見たい作品がそろそろ終わってしまうので久々に豪華三本立て!
 まずはこの作品!
 みんな大好きサメ映画! そして同時にインド映画! 好きなものと好きなものを合わせればもっと好きになるカツカレー理論!
 というわけでみんなのアイドルNTR Jr.氏が、今度は海で大暴れ!
 恒例の待合室にもサンサンシャークが出現!
 いずれはこのサメは温泉シャークMark IIになると見た。
 そして日本国インド領となった待合室にはもちろんポスターも。
 時は1996年。インドはクリケットのワールドカップを控えていました。
 しかし、そこには一つの問題が。犯罪組織による密輸が頻発しており、その首謀者はまだ捕まらないまま。
 特別捜査班が向かったのは、犯罪組織の巣窟とされる場所「赤海」。そこはかつて、文字通り海を赤く染めるほどの苛烈な抗争が繰り広げられていた土地でした。
 かつてそこにあった村で暮らしていた老人・シンガッパは、特別捜査班の男にかつてその赤海を支配した伝説の男・デーヴァラの物語を語り始めます。
 これはインド映画の感想では毎回言ってますが、作品のタイトルよりも先に主演のNTR.Jrの名前がロゴ付きでどーんと出てくるところでインド社会における映画スターの社会的地位というものを改めて感じさせられます。
 そして武器で作られたタイトルロゴがまたかっこいい。タイトルロゴがカッコイイ作品はもうそれだけで成功だと言えます。
 まず本作は、海が舞台という点を最大限に活かして生身で泳ぎつつ戦うという独特のバトルが楽しめます。インド映画における主人公は人間離れした身体能力を発揮しますが、本作の主人公デーヴァラは人間の生活の場ではない水中・海中を自由に泳いで敵を襲撃していく姿はまさに人間離れしていると言えるでしょう。他の作品にはないダイナミックさを楽しめました。
 反面、冒頭の輸送船から荷物を盗み出すシーンは見つからないように忍び込む「静」の緊張感がありました。
 そしてラストバトルはみんな大好きサメライドバトル! 今までインド映画では「荒唐無稽」という言葉がふさわしいバトルが満載でしたが、本作のラストバトルはまさに荒唐無稽にして奇想天外。本作でしか楽しめない水中バトルでした。
 反面、地上でのバトルも大迫力。デーヴァラとライバルであるバイラの勝負はまさに「肉弾戦」という言葉がふさわしい鍛え上げた肉体がぶつかり合う激しいバトル。カンフーでも柔術でもないインドならではの格闘シーンはプリミティブな迫力がありました。流血描写も多くあるんですが、不思議と血生臭さよりもある種の神聖さを感じましたね。
 ストーリーに関しては、やはりインド映画らしく「因果」が大きな要素としてあると思います。自分たちが密輸してきた武器が村人を殺すのに使われていたことを知ったデーヴァラの悔恨がそもそもの発端なんですよね。その行動がバイラの凶行を加速させていくのがまさに因果。
 そしてまた本作は、「物語の物語」であるとも言えるでしょう。デーヴァラが姿を消したあと、その息子のヴァラがそのあとを引き継いでいるんですが、実はヴァラが語るデーヴァラの物語は虚構の物語で、デーヴァラに従わなかった悪人たちの死体とともに浜辺に書き残されていたメッセージはヴァラが書き残したものでした。
 これは単なるどんでん返しではなく、これまで見てきたインド映画で頻繁に見られた「虚構の物語に現実の救済を仮託する」という構造だと感じました。実際、本編の12年後である冒頭のシンガッパの語りが証明している通り、虚構であるはずのデーヴァラの物語は語り継がれることで現実としての肉付けが成されているわけですね。
 本作の本質は実はここなんじゃないでしょうか。
 なお本作はまだ完結しておらず2に続くようですが、内容的には1作でまとめたほうがスッキリ終わった気がします。本作もやはり3時間近くあるんですが、尺の割にはストーリーの進行度合いがゆっくりなんですよね……。
 15分後の2本目はこれ!
 ん猫ちゃん猫ちゃん!!!!
 ついつい鶴見中尉になってしまいました。
 本作は前編セリフ無しのアニメーション作品「Away」を制作したギンツ・ジルバロディス監督の長編第2作。
 今回の舞台は水没しつつある世界。人間の姿はどこにもなく、いるのは動物たちだけ。本作の主人公は、そんな世界を旅する一匹の黒猫。
 動物を主役とした作品ではあるものの、本作に登場する動物たちは鳴き声はあるもののセリフは一切なし。さらに動物たちは擬人化もされておらず、彼らの仕草は本物の動物にごく近いものとなっています。
 にも関わらず本作に登場する動物たちは非常に表情豊かで、見ているとだんだん意思や言葉がわかってきました。
 特に猫は人間にとって非常に身近な動物なので、その仕草や表情や行動があるあるで自然と感情移入できた感じです。他の動物たちも、種族は違えどそこには確かに意思や心があることが感じられる丁寧な作りで、単純に動物による癒し効果でお肌ツヤツヤになれるのでおすすめ。
 ストーリーは明示されませんが、それだけにいろいろ想像できる作品でもあります。人間だけが姿を消した町並み、巨大な彫像、そして明らかに実在のものとは異なる形状のクジラなど謎めいた世界観が魅力です。
 個人的に印象的だったのがカメラですね。待合室に掲示してあった記事にありましたが、本作は猫の動きにカメラが少し遅れて追従するようなあえてカメラの存在を意識させるような撮り方をしています。これが本作に不思議な感触を与えている感じです。ときには各々の動物の視線に合わせて、時には客観的に遠いアングルで見せるといったような自由なアングルで彼らの旅を見つめている感じ。
 あと個人的にカピバラくんのマイペースかつしっかりものなところが好き。実に癒やされます。
 そして3本目はある意味これも動物がメインと言える作品。
 制作は1987年と古い作品で、対凶悪犯罪特殊武装機動特捜班・通称「特機隊」を物語を描く「ケルベロス・サーガ」の記念すべき第1作にしてアドリブの帝王の名で知られる千葉繁氏主演、そして押井守監督の初の実写作品。
 まず言いたのは千葉さん若っっっっか! 計算してみると33歳! でもやってることはみんなが知ってる千葉さんそのものでもうこの段階で「千葉繁」として完成しているということがわかります。芸風が完成するの早い。
 そして本作には「うる星やつら」関係の声優やアニメーターが登場しています。特に玄田哲章さんが実写で出演している姿を見られるのは貴重でしょう。聞き慣れたシュワルツェネッガーの声が日本人の口から聞こえてくるのに違和感すら覚える。
 あとwiki情報ですが草尾毅氏が芸能界の初仕事として死体役で登場してるとか。知らなかった……。
 「対凶悪犯罪特殊武装機動特捜班」、略称特機隊。凶悪犯罪を鎮圧するべく組織された特機隊は、あまりに苛烈な捜査が世論からの弾圧を受け、解体が決定された。しかしそれを良しとしなかった都々目紅一、鷲尾みどり、烏部蒼一郎の3名が強化装甲服「プロテクトギア」を持ち出し脱走。みどりと蒼一郎は逮捕され、紅一のみが国外へ脱走に成功する。
 そして数年後、帰国した紅一を待っていたのは公安の追手だった。夢とも現実ともつかない、繰り返される尋問と逃亡。紅一の運命は?
 本作はずーっと昔に「ケルベロス/地獄の番犬」といっしょに見た覚えがあるんですが、改めて見ると変な映画だなこれ……。
 押井監督の実写映画で好んで使うモチーフである「犬」「立ち食いそば」がしっかり入っており、なおかつ冒頭とラストシーン以外はモノクロという構成は後の「AVALON」を思わせます。
 ……と、こう書くと前編シリアスな作品に思えますが、なんか要所要所で千葉さんのおふざけが入ってて実にシュール。ホテルの受付のシーンの「マグマ大使」とか絶対アドリブだろアレ。
 何でも本作は冒頭の戦闘シーンで予算の大半を使い切ってしまったとかで、本編ではプロテクトギアによる派手な戦闘シーンはあまりなく、モノクロの世界で繰り広げられるのは限られたロケーションでの繰り返し。これが、一見アクション映画に見える本作に独特のシュールさを加えています。
 最終的に紅一はホテルのシャワールームで死体となって発見されます。これまでの出来事は死に際の紅一が見た夢だったのか、それとも……。
 当然というべきか、このへんのことについては明示的な答えは示されません。本作は設定が云々ストーリーが云々というよりも、千葉繁氏と押井監督のエッセンスを原液のまま詰め込んだ作品と言えるかも知れません。というか本作、ある意味では実写版ビューティフル・ドリーマーとも言えるかも。言えないかも。
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塚口サンサン劇場「デーヴァラ」「FLOW」「紅い眼鏡」見てきました!
初公開日: 2025年05月12日
最終更新日: 2025年05月13日
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