先日無事にゲームレジェンド用の原稿が完了したので再び映画鑑賞に走ります。
というわけで今日見てきたのはこれ!
みんな大好き創造神ことラージャマウリ監督の超絶名作「RRR」。本作はそのメイキングを描いたドキュメンタリー作品。
これを見ることによってただでさえ情報量が多く脳がパンクしそうな作品であるRRRへの理解、それぞれのシーンの裏側になにがあるかを深めてくれます。
もちろん書きたいことはたくさんあるんですがなにから書いたものやら。
まずそもそもメイキングというものは「あのシーンはこうやって撮影していたのか!」という、本編では見られない舞台裏が見られるのが醍醐味なわけですが、本作を見てると「あれ実際にやってたの!?」という驚きがありました。
特にびっくりしたのは本編でのいくつもあるクライマックスのひとつである式典会場でのラーマvsビームのシーン。あそこ本当に専用のホース作って水ドバドバ出してるんですよね。あんなのどう考えてもCGだと思うだろなんで本当にやってるんだよ……とボーゼンとなってしまいました。この流れなんか「マッドマックス怒りのデスロード」のメイキングでもあったな。
そして各シーンの指示は当然ながらラージャマウリ監督が出してるんですが、全体的に監督が実際にやってて笑った。出張りすぎだろこの監督。
あと撮影風景で驚いたのは、dostiのときの水中撮影。そりゃまあ考えれば水中で長時間息を止めてなくちゃいけないというのは当たり前なんですが、深さ数メートルのプール内に衣装におもりを仕込んで沈んで撮影してるのを見ると「すっげー……」の一言しか出ません。
また、まったく想定してなかったのが照明の大変さ。水中には照明が届きにくいため天井に専用の巨大な照明を作って光を集中させてるのとか、夜間の式典会場襲撃シーンの撮影の際にはこの巨大な照明をふたつ使い分けて撮影してるとか。
映画を見てる方は当たり前に画面を見てますが、現場に光をもたらすというのは予想以上に大変なんだなあ……と思った次第。
また、かなり衝撃だったのがラージャマウリ監督のインタビューにて「作品にメッセージを込めない」という発言があったこと。これはもちろん「社会的・政治的メッセージを込めない」=「エンターテイメントに徹する」というということでしょう。これはかなり衝撃でした。
これまで書いてきたインド映画の感想でも書いてきたことですが、インド映画の多くはそこに社会的・政治的メッセージが込められている、というよりも含まざるを得ないというのが本当のところなんじゃなかろうかと思っています。なぜなら、インド社会における映画という芸術は単なるエンターテイメントではないから。
もちろん、作品に社会的・政治的メッセージを込めること自体が悪いというわけではありません。しかし、そんなインド社会における映画において「メッセージを込めずにエンターテイメントに徹する」という方向性を保つことは我々日本人の想定外のハードルがあったと思います。
もうひとつインド映画として高いハードルだと思ったのが、あのインド映画における2大スターであるタラク氏とラーム・チャラン氏に対して「個性を出すな。キャラクターに徹しろ」と言っていたこと。これは衝撃でした。
これもまたこれまで書いてきたインド映画の感想で書いてきたことですが、インド映画における……というか。インド社会における「映画スター」というポジションは我が国のそれとはまったく異なります。インド社会における映画スターという地位は「政界への第一歩」とも言われるものなんですよね。
なので、インド映画では作品のタイトルよりも先に主演俳優の名前がドーン!と出てくることも珍しくありませんし、政治的・社会的メッセージの色濃い作品では主演俳優はキャラクターを演じているのではなくほとんど本人ということもあります。
そうしたインド映画というジャンルにおいて「主演俳優の個性を抑える」という選択肢のハードルはおそらく我々の想像以上のものだったでしょう。そしてそれに応じられるふたりもすごい。これは本当に高いハードルだったと思う。
ラージャマウリ監督をはじめ、制作に関わったスタッフの言葉はどれもなるほど!と思わせるものでしたが、なかでも印象的だったのが、とにかく「アクションで語る」ということを重視していたこと。
もちろんキャラクターの内面を作り込んでいることも伝わってきましたが、それ以上にその内面を常にアクションとして表に出すことを意識しているのがわかりました。ここで言う「アクション」とは派手な戦闘シーンなどのみならず、人物のちょっとした仕草も含むものとする。
以前の感想でも書きましたが、「RRR」という作品は肝心なことほど直接的なセリフを使わないんですよね。肝心なことほどアクション、動作で語る。
思うに本作、字幕なしどころか全てのセリフを削除したとしても映像とBGMだけで人物の感情と思考とストーリーを感じ取れると思います。それくらいキャラのアクションが雄弁になるように制作しているのがこのメイキングでよくわかりました。
また本作では、メイキングだけでなく世界各国での上映の様子も紹介されていました。本国ではともかく、インド以外の国での盛り上がりは監督にとっても完全に想定外だったらしいですね。そしてその上映の中ではもちろん我が国での様子も紹介されておりとても嬉しい。聞くところによれば監督の舞台挨拶の際の特別映像では我らが塚口サンサン劇場の様子が監督自らの手によって紹介されていたそうなのでわたくしの脳内ではもうラージャマウリ監督の来場は確定事項となっています。なれ。