レーヴァテインの最強最大の眷属にして最終防衛艦隊を統率する超弩級恒星艦ペンタグラムが、その動力炉を臨界駆動(オーヴァードライヴ)させて放った最終光撃と、聖鎧「リュミエール」を装着したネグザルツが放った大太陽剣が正面からぶつかり合う。
周辺に漂っていた敵艦の残骸が、あまりの熱量に耐えきれず次々と蒸発していく中、ペンタグラムとネグザルツは二重の太陽となってその輝きを増し続ける。生命(ライフ)を削って燃え盛るそのふたつの輝きの前に立っているものはもはやいない。
そのまま消滅、あるいは融和するかに見えたふたつの太陽。そのうちひとつがさらに輝きを増した。ペンタグラムの巨体が大きくひび割れ、開裂部から余剰エネルギーがコロナとなって吹き出す――最後の輝きだった。
艦体が末端部から崩壊、蒸発し始めた。同時にその動力中枢たる光核(コア)もまた内部から崩壊していく。
聖鎧に蓄積されていたエネルギーをすべて使い切ったネグザルツは、眼前で崩壊していくペンタグラムの巨躯を見守るしかなかった。
次の瞬間、暗黒の宇宙空間を明白に反転させる爆光が、音もなく広がった。ペンタグラムとの戦闘で限界に達していた聖鎧がついに破断され、大小の破片となって流れ飛んでいく。ネグザルツは聖鎧との接続を解除。ペンタグラムの最後の残光に煽られるようにして破損した聖鎧から抜け出たネグザルツの眼前には、すでにレーヴァテインの直掩艦隊が展開していた。
否。レーヴァテインはその超干渉能力と支配権能力によってこれらの艦体を直接操っている。この宙域全体が、文字通りレーヴァテインの手の内なのだ。そしてその奥底、超重力圏「奈落(アビス)」には、目指す母の姿がある。
もはやネグザルツには迷いはなかった。レインディアとの決死の戦いを経て、ネグザルツの性能は明らかに変質していた。聖鎧でも防ぎきれないほどのダメージを負いつつも、そのダメージはすでにほぼ完全に回復しつつある。冴え渡った思考域は未来位置を狙って偏差射撃を繰り返してくる艦砲射撃の間を縫い、抜き放った太陽剣で敵艦を数隻同時に串刺しにする。