生産エリア内の天井と壁のハッチが一斉に展開しタレットが姿を現した。さらに艤装されていない各種戦艦の砲口がこちらを向き、今まさに射出口から出撃していった中型機の群れが向きを変えて生産エリア内に戻って来る。
ネグザルツが侵入した生産エリア内は、一瞬のうちに砲火の飛び交う煉獄と化した。狭い空間内での同士討ちもいとわない攻撃は、ここで確実にネグザルツを仕留めることを目的としている。
盾にしている輸送艦の装甲もそう長くは保たないだろう。しかし、機体が半壊したネグザルツの生体反応が弱まっていることから、エクソダスの攻撃システムもその位置を特定できていないようだ。さらに、生産エリア内は攻撃が殺到したことで無数の破片と爆炎で混乱状態にある。この機に乗じるしかない。
ネグザルツは壁を這うようにして生産エリアの奥へと移動する。ここまで来ればあとは目指す場所まではもう少しだ。そこまでのルートはすでに知っている。なぜなら、そこは――。
最短距離で目的の場所に向かうために、片方だけ残っている粒子砲で床面を破壊、できた穴に機体を滑り込ませる。ネグザルツはそのまま落下し、生産エリアの下層へと向かう。
響く爆音を遠くに感じながら、ネグザルツは光源のない闇の中を果てしなく落ちていく。
半壊した機能不全の機体、どこまでも続く闇――その状況が、ネグザルツの思考域にあるイメージを想起させた。
甚大なダメージによる記憶(メモリ)の混乱? いや、違う。
それは、思い出(メモリー)だった。この宇宙に生まれながらにして不完全な水蛭子(エラー)として産み落とされた、かつての自分。
今の姿は、かつての自分と同じだった。思考域の奥底に蓄積された過去情報が逆流する。
圧倒的な無力感と欠落感で構成された虚無感(ヴォイド)。