兵どもが夢の跡。
 今やかの九龍城砦は取り壊され、その姿は人々の記憶の中に残るばかり。
 しかし、そこには確かに人々の生活が、謀略が、戦いが、友情があったでしょう。
 今宵このとき、その姿がスクリーンの中に、そして劇場の中に鮮やかに蘇る!
 誰もが待ち望み、また誰もが塚口なら絶対にやってくれると信じていたこの作品のマサラ上映、当然のごとく実現! みんなの夢を叶えてくれる映画館、それが塚口サンサン劇場なのだ!
 誰もが待ち望んでいただけあって上映当日を迎えるまでもなくチケット販売開始時点でその熱狂は最高潮に。
 以前の日記でも書きましたが、日付が変わった瞬間にリロードしたものの座席選択画面どころかその前の上映スケジュール画面から進まないという前代未聞の事態に。そしてチケットはおそらく追加口での最短記録に入るであろう1分完売。
 しかしチケット入手はまだ戦の始まりにしか過ぎません。その後上映日当日まで、マサラ参加者たちがお花紙を切りクラッカーを買い漁りコスプレ衣装を作る様子が常にTLを埋め尽くし、その熱気は今にも液晶画面を溶かしてしまいそうなほど。
 わたくし人形使いは最寄りのダイソーで周囲の目を憚らず8個入りクラッカーを列でごっそり持っていきました。さすがに1本の映画に買い過ぎか?とか思いましたが、その考えの甘さをわたくしは思い知らされることになるのでした……。詳しくは後述。
 そして今回のチケットは通常チケットと食事付きのものの2種類。食事付きってなに?と思う人がりかもしれませんが、
 こういうことです。ここほんとに映画館?(いつもの)
 バトルシップのときはブリトー、インド映画のときはサモサとチキンカレーと上映作品に合わせた食事が出ることで有名なサンサン劇場ですが、本作における食事といえばパンフにも作り方が載ってるこの叉焼(チャーシュー)飯です。白米にチャーシューを乗っけただけの非常にシンプルなメニューですがそれがいい。
 よくオタクは「劇中のキャラクターが印刷されたグッズじゃなくて劇中に登場したグッズをよこせっつってんだろオラァァァン」とブチギレていますが、サンサン劇場はそれを「劇中に登場した食事を提供する」という形でやってくれるんですよね。
 サンサン劇場、ひいては戸村支配人は常々、映画鑑賞を「体験を提供すること」と言っています。これは映画を鑑賞するという体験のみならず、視覚と聴覚だけでなく嗅覚・味覚をも以って作品を体験させてくれるのです。五感で味わう映画館、サンサン劇場!
 そしてこの叉焼飯、単純に美味い。卵もつけて食べたい。さすが映画館なのに食べログに載ってる映画館、サンサン劇場。
 それだけではありません。今回サンサン劇場に集った塚口城塞の住人たちのホスピタリティが全方向から襲いかかってきます。
 毎回思うんですがよく考えるなあほんと。例の紙袋にお土産入れてたり満席であることを活かしてお土産に座席番号を振って参加者全員にお土産配るとか。ほかにも毎回イラスト入りのお土産があったりして、マサラ上映時の大きな楽しみです。なお頂いたお土産に添えてあるイラストやシールは全て保管しているので1000年後にまで語り継がれるであろう。
 そして個人的に今回のお土産MVPはこれ。
 本作を見た人はこれを見ただけでもう全身の水分が枯れ果てて即身仏になるまでドボドボに泣くであろうアイテム。だれもが思いつくけどだれもが実行するわけではないアイデアを実行する人がいる、それが塚口。
 そしてコスプレの人もまた気合が入っててすごかった。前回のパターン&ジャワーンマサラでもすごいクオリティのコスプレの方がいましたが、今回も負けず劣らずの再現度。TLを「#塚口九龍城砦」で検索すればわかると思いますが、なんかもう屋台の主人そのものの人とかサモ・ハンそっくりの人とかまんじゅう屋のお姉さんとかいてもはやほとんど欽ちゃんの仮装大賞でした。(世代がバレる発言)
 コスプレの方々のお姿は毎度おなじみの関西キネマ倶楽部さんが素敵な写真を撮ってくれてるのでそっちをどうぞ。
 そんな感じでいつもどおり上映前ですでに熱気MAXになっている待合室ですがこれからが本番。
 開場時間になったので早速場内へ。
 上映前のスクリーンはこんな感じ。
 塚口の上映前スクリーンは上映作品に合わせてさまざまなデザインの映像を作ってくれてますが、このネオン看板風のデザイン実にいい。こうやってじわじわ気分をアゲてくれるのが塚口のいいところ。まあすでにテンションは最大値を記録しているわけですが。
 そしてその最大値を記録しているテンションがさらにブチ上がるときが来ました。
 我らが塚口城塞の管理人、戸村哥の登場だ!
 戸村支配人もまた上映作品に合わせてさまざまなパフォーマンスを見せてくれます。なので必然的に初マサラの作品では「この作品では戸村支配人は前説でどんなパフォーマンスを見せてくれるんだろう?」というのがマサラ上映の大きな楽しみとなっていますし、それをいろいろ予想するのも楽しいもの。
 しかるにわたくし人形使いは今回戸村支配人は絶対に例のタバコキャッチをやってくれると信じてたんですがやりやがった!! マジかよあの支配人ッ やりやがったッ!! 戸村支配人すげぇッ!!と思わず不死身の杉本と化してしまいました。期待してたことをぜんぶやってくれる映画館、サンサン劇場。なおキャッチに成功したかどうかは秘匿します。
 そして恒例のクラッカー&紙吹雪の練習の際、クラッカーに合わせて例のあの龍兄貴パンチ(仮)をも披露してくれました。曰く「すっげー気持ちいい」とのこと。
 さらに戸村支配人、前説のカンペを靴下から取り出す、観客へのお礼にかこつけて「モニカ」を絶唱するなどいつにもましてやりたい放題。
 劇場側も観客も誰も彼も全力で楽しんでるのがビンビンに伝わってきました。なんなら戸村支配人が毎回いちばん楽しんでるまである。
 また、売店にて好評発売中のトワイライト・ウォリアーズの関連グッズですが、ハイエイトチョコが今日までに届かなかったので品切れとのこと。その品切れの理由が「ドラえもんを見に来たキッズに大人気になってしまったから」とのこと。実にいい。
 そういやこないだの「男たちの挽歌」を見に行ったときの日記で書き忘れましたが、朝イチでお母さんに連れられたリトルガールがチョウ・ユンファのポスターを見てキャッキャしてたのを見てほほえましい気分になりました。12歳になったらまたお母さんと一緒に来てほしいなあ。そしてジョン・ウー沼にハマってほしい……。
 相変わらず上映前の段階でもはやクライマックスの盛り上がりでこのブログももう3000字に到達しようとしているのでそろそろ本編に入りましょうかね。
 それでは「トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦」入城ッッッ!!!
 
 
 言うまでもないことですが盛り上がりましたね。物理的な意味で。床が。紙吹雪で。
 いきなり上映終了後の話なんですが、マサラ上映では終わった後にみんなで掃除をしますよね。その際に「まず椅子やご自分の体に着いた紙吹雪を床に落としてください」ってアナウンスがあるじゃないですか。
 自分が座ってた椅子の下、紙吹雪が降り積もりすぎてて椅子の上の紙吹雪が床に落とせない状態になってました。詳しく言うと、椅子の折りたたみ部分の隙間から紙吹雪を落とそうとしたらすでに床が紙吹雪で盛り上がってて落とせなかったという……。
 わたくし人形使いはこれまでそれなりの回数マサラ上映に参加してきましたが、2本連続上映でもインド映画でもない作品で上映終了後にこれだけの紙吹雪が降り積もってるのは初めて見たと思います。これと前述のチケット1分完売から本作のマサラ上映がどれほど期待されてたかわかるというものでしょう。
 さて上映中の様子に関してですが、今回は激しいバトルシーンが連続する作品であるにも関わらず、意外にも「静のマサラ上映」だった印象です。
 マサラ上映だったのでレギュレーションでは鳴り物、クラッカー、歓声OKだったんですが、メインは紙吹雪と鳴りものでしたね。もちろんみんな大好き龍兄貴をはじめとするメインキャラの登場時には大歓声が巻き起こってましたが、それ以外のシーンでは歓声は控えめだった感じ。
 今回特によかったのは鳴り物でした。鳴り物が鈴というのが効いてた気がします。今回は前述のとおり塚口では初マサラだったので観客も探り探りだった部分もあります。しかしそれも実にいい方向に働いていました。
 本作のOPの詩に合わせて鈴の音が少しずつ(あ、ここで合わせるんだ)といった感じで少しずつ鈴の音が増えていってだんだん合わさっていくあの感じでこの作品が始まるというのが実にいい。
 本作の舞台である九龍城砦はさまざまな人々がさまざまな事情を抱えて生活している場所。その九龍城砦のように、今回のマサラ上映の舞台となったシアター4にもさまざまな事情を抱えたさまざまな人々が集まっています。そうした人々が少しずつ息を合わせていくのが楽しい。これはまさにマサラ上映でしか味わえない作品への没入方法だと言えるでしょう。もうここで一気に館内の空気がひとつになったのがわかりました。
 本作の音楽担当は皆さんご存知川井憲次氏なんですが、本作のBGMの印象は全体的にやはり「悲哀」「寂寥」なんですよね。そのBGMに観客席から響く鈴の音が実に合う。というかこれに関しては「観客が作品に寄り添う姿勢を心得ている」と言いたい! 映画鑑賞の巧者なんですよ皆さん。
 これまたいきなり終わりの話ですが、本作のあの寂寥感あふれるスタッフロールに合わせて静かに鳴り響く鈴の音、たまらん。映画の魅力を観客が増幅させる、それが塚口のマサラ上映!
 
 クラッカーも言うまでもなく今回も実にいい仕事をしてました。
 いきなりの盛り上がりシーンである我らが王九の兄貴の登場シーン、そこで早速クラッカー班の業前が披露されます。
 兄貴が点穴でバスの座席をブチ抜くシーン、あそこは合わせやすいシーンであるのを差し引いても初マサラでクラッカーがぴったり合ってたのが最高だった。もちろんみんな大好き龍兄貴パンチも示し合わせたかのようにクラッカーのタイミングが一致してて最高に気持ちいい。自分がやりたいことだけじゃなく自分がやってほしいことをもやってくれる映画館、サンサン劇場。
 アクションシーンでのクラッカー連発は言うに及ばず。みんなどんな速さで次のクラッカーを構えてるんだってくらいの連発で館内がもう火薬臭い火薬臭い。
 クラッカーが揃って気持ちよかったシーンと言えばまだまだあります。娼婦殺しの犯人を紙切れにするシーンとかもう誰がどう見てもクラッカー撃つしかないシーンなんですが、そのシーンの直前でそこらじゅうからごそごそクラッカー発射準備の気配が漂ってきたのが最高に笑えます。みんなの心はひとつ。
 ほかにもラストバトルで四仔がハンマーで王九の兄貴のドタマぶん殴るところでも完璧にクラッカーが合ってたのでみんなで王九の兄貴のドタマぶん殴れたので満たされました。王九の兄貴はどんだけぶん殴っても大丈夫ですからね。
 もちろん紙吹雪の業も冴え渡ってました。天井高くまで舞い上がり、そして十分な滞空時間を確保しているがゆえに余韻があるという国の重要無形文化財に指定されてないのがおかしいくらいの美しさ。
 しかし今回、紙吹雪が最高に輝いてたのはやはり冒頭も冒頭、大ボスが洛軍に偽造身分証を投げてよこすシーンでしょう。あそこで紙吹雪を撒く発想が天才すぎる。しかも複数。あれタイミングを見た感じ、前方のいつもの紙吹雪職人にそれより後ろの人たちが瞬時に追従したように見えましたがどうなんでしょうか。とっさに合わせたにせよ全員が同じこと考えたにせよ塚口の紙吹雪職人は識閾下で連携してるとしか思えない。重ねて言いますが本作は塚口では初マサラですよ。なんでこんな完璧な連携を取りつつ笑いまで取れるのか。
 もちろんここ以外にも紙吹雪は要所要所で実にいい仕事をしてくれていました。塚口の紙吹雪班は「静」にも「動」にも対応できるのが素晴らしい。特に龍兄貴の最期のあのシーン、ぴたりと静まり返った館内に黙々と白い紙吹雪が降り積もる光景はここでしか見られないものでしょう。
 歓声に関してもまあ言うまでもないでしょう。特に歓声が大きかったのは当たり前ですが王九の兄貴と龍兄貴の登場シーンでしたね。また信一の登場シーンの歓声もすごかった。
 歓声は普通に考えれば思わず出るようなものですが、そこはやはり塚口。歓声を出すタイミングやシーンをきちんとわきまえてます。歓声と鳴り物の使い分けが実に巧み。あえて歓声ではなく鳴り物で盛り上げてるところがちゃんとあるのがいい。
 個人的に今回いちばんの歓声が出てたのは、実はラストバトルで満を持して四仔が素顔を見せたところだったんじゃないでしょうか。顔を隠してるキャラの見せ場は素顔を見せるところと相場が決まってますが、だからこその最大級の歓声でしょう。みんなの心はひとつ。
 そして今回の上映では本編終了後に削除シーンが追加されていましたがこれがもう情報量が多くて……というか本編での衝撃的なシーンである王九による大ボス殺しを深堀りされててなんとも言えない気持ちになってしまい……。
 本編ではまさに狂犬といった感じの王九ですが、削除シーンでは彼の意外な、そしておそらくは本質であろう部分が垣間見えるんですよね。
 王九は大ボスの右腕として忠誠を誓っているのに対し、大ボスは王九のことをかなりぞんざいに扱ってるんですよね。にも関わらず王九は大ボスの身の回りの世話をしている。しかしとうとう……という。
 この削除シーン、狂犬であるはずの王九の人間としての感情が垣間見えるとともに、彼の狂気が薄皮一枚のものであることが確定したシーンだと思いました……。この削除シーンを見るのは本編での彼の狂気と狂騒を文字通り最期まで見たあとなので余計にその落差が明確に感じられてなんとも……。
 今回のマサラ上映に参加した人たちの中には、削除シーン未見の人・すでに見た人混じってたと思いますが、この王九の削除シーンでの館内の空気は困惑と哀しみの入り混じったもので、本編のあのエンディングの寂寥感からのこれでなんというか染みるような悲しさがありました。
 そこからの館内が明るくなってから拍手喝采がまたいいんだよな。マサラ上映で沸き起こったさまざまな感情が乗った拍手。ただ単なる大騒ぎではないこの拍手が巻き起こる上映終了時の瞬間が本当に好き。作品に関する様々な感情が自分の中に定着していく気がします。
 ……といった感じで記念すべき初の「トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦」のマサラ上映は無事終了。そしてこのレポも無事終了。映画1本のレポとしては過去最長クラスの記事になったと思います。ちなみに執筆時間は今の時点で合計317分。これだけの長文記事を書かせる時点で塚口のマサラ上映、ひいてはトワイライト・ウォリアーズという作品の魅力をご理解いただけると思います。
 九龍城砦は取り壊されてしまいましたが、戸村支配人の言によれば塚口城塞の取り壊し日は未定とのことなので確実に2回目3回目が来ますよ。
 もちろんその時は全力でレポを書かせていただきます。それでは、塚口に再び龍が戻る日を待ちながら、再見!
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【削除シーンネタバレ注意!】塚口サンサン劇場「トワイライト・ウォリアーズ」マサラ上映行ってきました!
初公開日: 2025年03月22日
最終更新日: 2025年03月23日
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