「はじめまして」
気づいたら、私はそう呟いていた。
なんでかはわからないけれど、なんだかこの土地にとてもいい思い出ができる気がしたから。
ある日、私は仕事の都合で引越しをすることになった。
「えぇ!?課長、流石にそれはないですよ...!そんなとこに異動なんて、もはや左遷じゃあないですか!!」
そう、まさに田舎中の田舎に引っ越してきてしまったのだ。
なぜこんなところにきてしまったのかなにもわからない。
こんなところ、はっきり言って早く抜け出したい。
なのに、なのになぜか、私は呟いていた。
この土地に思い入れもないのに、早く出たいのに、まるで一生のパートナーになる気がして。
「あ、こんにちは!こんなど田舎に引っ越してくるなんて、珍しいねぇ」
おそらく長い間住んでいると思われるお姉さんに話しかけられた。
「あ、こちらこそはじめまして。これからよろしくお願いします」
「おう!よろしくな!」
適当に挨拶を済まして、引っ越してくる一軒家家に入った。
自分が持っている荷物も重いし、引越しサービスの車でガスの匂いがする。
それにとても疲れてしまった。
早く休みたいと思っても、まだ大量の荷物が私を逃さなかった。
「やっと終わった...」
終わった時、時刻はすでに午後8時。
初日から死ぬほど疲れてしまったが、果たしてここで快適に生活できるのだろうか。
「うーーーん...」
私の予感は的中した。
どうせ田舎に引っ越すならと、引っ越すところを平家にしたのが間違いだった。
部屋に入って寝ようとしても、エアコンもなにもないから蒸し暑くて寝れやしない。
なんなら蚊がさっきから飛んできて、すでに二箇所くらい刺されて超かゆい。
全然寝れない。
明後日からすぐ仕事にいかなきゃいけないのにも関わらず、初日からこれならもはやどうすればいいのかわからない。
いつになったら私は休めるのだろうか...
その後、6〜7時間くらいしてやっと眠くなってきた時には、すでに夜が明けていた。
「やあ新人さん!そんなやつれた顔して、どうしたんだ?」
少しでも状況を改善しようと蚊取り線香を買いに行こうとしていると、昨日のお姉さんが声をかけてきた。
「あ、こんにちは...昨日全然寝れなくて...」
「まぁそうかもな!あんた引っ越してきたとこ平家だろ?ここは虫が大量にいるから秋は気持ちいいが、夏はもはやこの世のもんではないぞ!HAHAHA」
「そ、そうなんですね...」
どうやらお姉さんの話によると、夏はもっと地獄らしい。
こうなったらただの二階建てとかにすりゃよかった...
「それはそうと、今日はあっついのになにしにきたんだ?」
「あぁ、蚊取り線香を取りに行きたくて...」
「スーパーで一番近いのはここから車で....大体30分ってとこだな!」
「30分!?」
終わった...私はいい歳こいて運転免許を持っていなかったのだ。
「あの...それって徒歩ではどれくらいになりますか...?」
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「はじめまして」
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初公開日: 2025年03月18日
最終更新日: 2025年03月18日
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