「ん?なんだ。なんも変わってないじゃん。まったく、スキルを無駄にしたなw」
「へへっ、そうかもなあ。」
「何がおかしいんだよ。お前はもうそろそろこの俺に殺されるってとこなんだぜ。わかってんのか?それともなんだ、頭のねじでも外れたか。」
「まあ、やってみろよ。」
「っ!!!!お前らのそういう舐め腐った根性が大嫌いなんだよっ!!!」
レーファンは、あいつは俺たちを守るためにこのスキルを使ってくれた。体が引き裂かれそうになってもあいつがあの時倒れなかったのは、間違いなく仲間を思う、最高にかっこいいド根性だ!
それと・・・・・・こいつ。
「は?なんだよこれ!!」
右、右、左。まるでゲームのコマンド。わかる、積み重なるようにわかる。俺にはもうこいつはただの初心者だ。攻撃が何もかも読める。空気があいつの拳で切られるよりもずっと前に、俺の脳内が処理する。
「攻撃が読める。たったそれだけの能力だ。だか、近接において最強!!」
「守らなきゃいけない味方がいたからあいつは、あの時にこの力を思うように使うことが出来なかったんだよ。つまり、あいつはまだ本気じゃない。見くびったお前の負けだよ、シルクスクリーン!!」
「ちっ!クソ!!」
しかし、シルクスクリーンはどれだけ攻撃を避けられようとも、拳を止めようとは一切しなかった。目と耳を研ぎ澄ませ、感覚や神経のすべてを駆使してこの能力差を一瞬で埋めようと思考し、拳に投与する。
だが、この思考こそ大きな穴であった。
「俺にとって、お前はもうわかりきった謎だよ。誰も解けなかった謎、誰も進むことのできなかった考え。俺には、わかってしまった、面白くもない疑問だ。お前がどうやって攻撃するかを考えている時間に、俺はもう次の一手を考えている。思考のずれだ。」
「はあっ!?!?」
顔面一発。次は相手の足裏の攻撃。避けたら今度は肘!それで終わりだ!
「クソ野郎がっ!!」
「ごめんな。」
「がっ!!!」
足裏の蹴りを一歩下がって避けて、また間合いを詰める。すれば、また隙が出る。そこを肘打ちして、シルクスクリーンは勝手に地面に腹を抱えながら倒れた。
「まあこんなもんか。シルクスクリーン、お前は全部が甘いんだよ。舐め腐った根性?その言葉、そっくりそのまま返すよ。あと、死んでくれ」
「まだ終わってねえよ。まだ・・・・・・。」
枯れた声が耳までかろうじて伝わってくる。ごにょごにょなにを喋ってんのか、だんだんあほらしくなってきたな。
ここまで苦労した敵の最後がこれなんて、しょうもないというか、あっけないっていうかさ。
まあいい。どうでもいいや。
「ファイアーイフリート。」
「ル・・・・・・」
ガアアアアッ!!!!!
シルクスクリーンがいた場所からその奥の林まで全てが灰になって、残った粉みたいな小さい火だけはまだ煌々と光って、その場所に留まっていた。
「待て、、、まだ終わりじゃない。」
「は。なんだ今の声・・・・・・。いや、確かに聞こえた。確かに。」
耳元でささやかれたような気がしたのに、なぜか背中がぞくっとして先に反応した。思わずトニーは後ろを振り返ったが、やっぱり灰色の世界に他の色はなく誰もいなかった。安心したような気持ちとともに、違和感がトニーの脳内を通り抜けた。
「火は・・・・・・?」
「倍にして返してやる。消えろよ!!!」
レーファンの能力は近接技には最強のスキルだ。しかし、二刀流ではない。ゆえに、最強ではない。遠距離にとってはないも等しい。
「ファイアーイフリート!!!!!」
「なっ、」
言葉を発する隙間もないほど、圧力と炎がトニーの全身を覆いつくした。
気絶、いや死か。もうどちらでもいい。そのどっちかを望む。強く。死にたい痛い、もういい。なんで俺はこんなやつと戦ってんだよ。いいだろ、もう。誰かのためとかやっぱり俺には、無理なんだ。
「違う。思ってねえ。そんなことっ!!!」
モビメン
「がっ、、はあ、はあっ。」
「全身のやけど、もう動けないでしょ。」
「いってえ。足も腕も動かすのでやっとだな。はは。」
なんで笑ってんだっけ俺。そんな余裕じゃないのに。いや、余裕じゃないから笑えんのかな。余裕じゃなさすぎて・・・・・・。
「さあ今度こそ終わりだ。スキルも尽きただろう。諦めろよ、立つことも出来ないカス。」
「ド根性、まだ終わんねえ。まだ。まだ。まだあああああああああ」
「なんだてめ・・・・・・!」
「ぐあああああああああああああああっ!!!」
トニーは枯れた喉を奮い立たせて足と腕をいっぱいに使った。
「そんなに声出しても当たるわけねえだろ。ほとんど動いてねえよ。」
右頬を歪ませるようにシルクスクリーンが嘲笑う。
だが、この時すでに、トニーの拳はシルクスクリーンの頬に当たっていた。
「がゅうううう・・・・・・!」
「はっ。馬鹿だなやっぱ。俺がそんなに動けないと思ったら大間違いだぞー。レンドラピオ、俺のよく使う魔法なんだからそれぐらい覚えとけよな。足が速くなるって便利だよな。
「あれ?気絶しちゃった。」
「まあいいや、とにかく仲間のとこに急ごう。」