「えっ?まじですか・・・・・・。」
僕はたかしに、告白をする前から無理に決まってるって言った。だけど、いざこうやって目の前で無理と言われてしまったら、喉が詰まって言葉が出てこなくなった。ショックなのもあるけど、もしかしたら成功するんじゃないかって、正直期待してたのもある。
期待が一瞬で諦めに変わった。勇気が、一言で無駄になった。あの時もこんな結末だったっけ。
「それじゃあね!」
「あ、、はい。お疲れ様です。」
多分僕が心の中で迷走している間にも先輩は色々話してたんだろうな。だけど何一つ僕は先輩の話を聞かなかった。さっきまでずっと聴いていたいと思っていたその声が、もう聴きたくない声に変わったんだから、仕方なかった。
「はあ、、どうしよ」
お先真っ暗だ。もはや絶望も味わい切って、どうでもよくなってきたくらい悲しい。え、悲しいってことはやっぱりどうでもよくないのか。
「まあいいや帰ろ。」
どうでもよくなってはないんだけど、限りなくどうでもいいに近づいた。応援していたサッカークラブが下部リーグに降格確定した後の試合みたい。
「ねえ、ねえってば!!」
そうかあ、結局、先輩にとって僕なんて、消化試合だったんだな。最初っから。僕なんてただの後輩止まりだったってことか。好きな人、そうだ。好きな人って誰なんだろ。りの先輩みたいに可愛い人の好きな人とか、めっっっちゃイケメンで高身長で小顔で・・・・・・
手、、、繋ぐんだろうな。そのイケメンと。
「おいっ!!!」
「いてっ!!」
頭にボカンといきなり大きな衝撃が走った。りの先輩の好きな人を妄想していた頭が、いきなり現実に引き戻されたように、やっと僕は今目の前で起きている、現実に気が付いた。
「ひさき!?っておい、これ、ゴミだらけじゃねえか床!!」
「はあ、はあ。だって、、いくら話しかけても気付かないんだもん!!」
「はあああ?なに言ってんだよ、、」
「それはこっちのセリフ!どうしてずっと私の事無視してたの?黒板見つめてぼーっとしちゃってさあ。」
「あああもう!とりあえず片づけるぞ!てか、無視してたのは悪かったけどさ、いくらなんでも人の頭ゴミ箱で叩くかよ普通。」
「叩くよ普通。」
「普通じゃねえよ。」
僕の頭にぶつけられたのは、まさかのひさきのフルスイングゴミ箱だった。ゴミ箱の中身はもちろん、ゴミだらけ。ゴミ箱らしくゴミだらけだったことで、叩いた瞬間に床に思いっきり散らばったわけである。
掃除用具入れからほうきを二つ出してゴミを集めた後、ちりとりでゴミを片付けた。
「はあ。疲れたあ。」
膝を曲げてため息をつきながら、ひさきは不満げに言った。
「いやゴミを床にぶちまけたのはひさきだろ?疲れたとか言うな。」
「もう、そんなに女の子に厳しいからモテないんだよいつきくんは。」
「え?は?」
もしかして、告白が失敗したこと、ひさきにバレてんのか?まさか、僕が振られたってことひさきが知ってるわけない。でもだとして、ひさきはどうしてここにいるんだ?
「やけに動揺してる!図星だったんでしょ?私、なんとなくそうだろうなあって分かってるよ?」
「は、、モテたいとか思ってないし。そんなんどうでもいいんだよ、」
どうでもいいわけがなかった。本当にどうでもいいと思ってたら、りの先輩にアタックとかしなかったし、たかしという情報屋にあれだけ惑わされなかっただろう。
それでも惑わされたのは、やっぱりモテたいと考えてたからだ。
もう少し詳しく言うなら、自分の望んだ恋が成功したって、考えたかったから。
恋愛のトラウマを拭いきるための、、、恋。
恋?
「付き合ってよ。私と。もし付き合えば私は毎日好きっていうよ?モテたいとか私は思わないから、他の誰にも近づかないし、いつきくんのことだけ考える。モテてるっていうレッテルのための恋じゃなくて、私は本当に好きなの。」
34回目、、、
「・・・・・・」
「あれ?もしかして悩んで、る?嘘!?ほんと!!私の告白で悩んでるの?やったあああ!」
レッテルのための恋。ひさきの言葉が珍しく心に来た。
初めての恋、思い返せばあの時の恋は本物の恋だった気がする。
「今頃なにしてるのかな、」こんな風に常に相手の事を考えて、それ以外に集中できないくらいに夢中だった。
あの恋は本当に楽しかった。周りの目なんて気にしないで、どんな事を言われても「絶対いける!」と強く信じていた。
あの時の僕の背中を押していたのは、ただ好きっていう純粋な気持ちだけだった。
今の恋は情報とか周りの噂に流されて、勝手に告白すらしないで「無理だ。」と諦めててしまっていた。
ただモテて、彼女がいる自分を作りたかっただけ・・・・・・。だったのかな。
「・・・・・・ごめん、考えさせて。」
「本当!!!やった!やった!答え、待ってるね。」
「うん。」
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