気がつけばあの作品もこの作品も終映が迫っておりスケジュールがギチギチになってて大変なことになってます。冬コミ原稿大丈夫なのかこれ。
 というわけで今日見てきたのはこれ!
 最初は大阪ステーションシティシネマでみようと思ってましたが久しぶりに日付を間違えてチケット予約してしまったのでなんばで予約し直して見に行きました。
 いわゆる「クリスマスもの」は映画のジャンルとしてすっかり定着してますが、だからこそたくさんの作品から差別化するのが難しいもの。
 その点本作は今まで意外になかった「サンタが悪いやつにさらわれる」というシチュエーションがなかなか面白くてよかったです。
 クリスマスイブ。それはサンタが世界中の子供にプレゼントを送る日。
 そんな記念すべき日に、なんとサンタがさらわれてしまった! サンタクロースの護衛組織である「E.L.F」は大混乱に陥ります。今年のクリスマスを最後にサンタクロースの護衛任務を辞めるつもりだった護衛隊長・カルは、サンタクロースことニックを救出するため、世界一の賞金稼ぎにして追跡者のジャックと否応なしに手を組み、犯人の追跡を開始。
 しかしジャックは、かつて子どもだった頃からサンタの存在を信じておらず、今は非合法な以来で稼いでいる犯罪者であり、サンタの「悪い子リスト」に名前が載っています。さらに息子や妻とも疎遠になっており半ば自暴自棄な暮らしを続けていました。
 かたやカルは、何百年もの間サンタを護衛してクリスマスを続けていても「悪い子リスト」の名前が一向に減らず、むしろ増える一方であることに心を痛め、ニックに止められるも今年でサンタの護衛任務を辞めることを決意していました。
 そんなふたりは果たしてニックを救い出し、今年のクリスマスを無事終わらせることができるのか!?
 いやーシンプルに面白かった。クリスマスものではしばしばサンタ業務の内情がいろんな形で描写されていますが、本作では「神話や伝説に登場する妖精やモンスターを管理する組織がある」「その組織がサンタクロースを護衛している」「サンタクロースは本物の聖ニコラウス」といった設定があります。
 そしてサンタクロースの拠点である北極の基地では、巨大な工場で分業化されたプレゼントの準備が行われており、工場設備の中でペンギンやトロールが仕事を行っているというビジュアルは実にファンタジーで魅力的。
 冒頭で基地に帰還するサンタのソリがソニックブームを発するシーンは最高にトンチキでよかった。戦闘機と並走するサンタのソリという絵面もトンチキでいい。
 こういった具合に本作は全体的にトンチキ方向に振ったクリスマスもので、まさにクリスマスという日のためのお祭り騒ぎといった感じの作品でした。作中でのアイテムもいちいち面白く、おもちゃを本物にする装置やカカトを鳴らすことで体を縮小するブーツなどアイデア盛りだくさん。特にブーツは「小さいドウェイン・ジョンソン」がなかなかシュールで笑えました。
 敵であるクリスマスの魔女ことグリラ一味もなかなかおもしろく、ムッキムキのスノーマンが南国のビーチで襲いかかってくる絵面はこの作品のノリを端的に表していると言えるでしょう。弱点が顔についてる人参でそれを引っこ抜かれると消滅するというのも実にクリスマス。
 このように本作は全体的にトンチキで頭空っぽにして楽しめるクリスマスムービーなんですが、その裏に潜んでいる裏テーマは「過ちを更生する機会」、クリスマス風に言うなら「悪い子がいい子に戻る機会」だと感じました。
 前述のとおり、カルは悪い子リストが増えるばかりであることが原因でサンタの護衛隊長をやめようとしています。ジャックは子供の頃からサンタを信じておらず、今は悪行に手を染めています。そしてクリスマスの魔女・グリラの目的は、悪い子リストに乗っている人間を片っ端から量産した魔法のスノードームに閉じ込めて、この世を「正しい世界」にすること。さらに、中盤から登場するサンタクロースの弟という怪物「クランプス」は悪い子リストの創案者であり、wikiによれば「いい子にプレゼントを与えるサンタに対して、悪い子に罰を与える存在」だそう。
 このように本作では、「いい子と悪い子」が非常に重要な軸となっています。そして、本作の悪役であるグリラは悪い子を悪い子のまま取り除くことで世界を正常化しようとしています。対してジャックは、渋々ながら、あるいは悪知恵を働かせてカルを助けることで少しずつ善性を取り戻していき、疎遠だった息子とも向き合います。それを見てきたカルは、最終的にサンタの護衛任務を継続することを決めるわけです。
 本作のノリはあくまでエンターテイメントであって、善悪とは? 一度悪に堕ちた者は戻れないのか? といったようなシリアスなものではありません。しかし、だからこそこの「悪い子がいい子に戻る機会」というテーマがクリスマスという特別な日と相まって自然と感じられました。思うに、サンタを信じないまま大人になってしまったジャックにとって、「この悪い子がいい子に戻る機会」こそがクリスマスプレゼントだったんじゃないですかね。
 そしてすべてが終わった後に、いよいよサンタの本業であるプレゼント配りの過程が生き生きと描写されているのがいいんだ……。プレゼント配りに出発しようとするニックが「一緒に行くか?」と声をかけたときのジャックと息子のディランがふたりそろって子どもみたいな笑顔してるのがいいんですよね。そしてカルが見ると、ソリの上ではしゃいでいるジャックが子供の時の姿に戻っている。クリスマスの魔法ですよ。
 現代社会ではなにかやらかすと徹底的にそれを責められ論われ合法的に殴っていい相手とみなされます。一方で善性や理性を失っているとしか思えない闇バイトだの迷惑系YouTuberなどが跋扈してもいます。自己責任の一度のやらかしで人生すべてを棒に振ることは自業自得ですし、悪行が都合よくなかったことになることもありませんしあってはいけないと思います。
 だからこそ、この「悪い子がいい子に戻る機会」というプレゼントを見逃すことなく受け取ることができた人には、悪い子からいい子に戻る機会をぜひとも活かしてほしい。この映画からはそういうメッセージを受け取りました。
 わたくし人形使いは人間の善性というものにはそこまで期待していませんし、するべきでもないと思っています。「一度のやらかしだから」で罪が許されるべきだとも思いません。自分自身も善性に満ちた人間ではありませんでそうであるべきだとも思ってません。そして同時に、過ちを犯していない人間だとも思ってません。
 しかし、このこの「悪い子がいい子に戻る機会」=「自身の過ちを正す機会」を受け取れたら、疑いなくそのリボンをほどけるような人間ではありたいと思います。
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TOHOシネマズなんば「レッド・ワン」見てきました!
初公開日: 2024年12月06日
最終更新日: 2024年12月06日
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