毎週木曜は滑り込みの日。
 というわけで今日は朝から晩まで塚口の日でした。もう少しバランスよく分散して見に行けよという気がしますが……。
 さておき、今日朝から見てきた1本目はこれ!
 見よう見ようと思ってて上映期間に余裕があると後回しにしてたら気づけば最終日といういつものパターンで今日見てきました。
 朝起きたのがけっこうギリギリだったので見に行くかどうか迷ってましたが、ギリギリ間に合う時間だったので急いで電車に飛び乗りましたが、結論から言うと見に行って大正解でしたね。
 上映までちょっと時間があったので待合室を覗いてみるとこんな感じ。
 みんな大好きベイビーわるきゅーれ。「ナイスデイズ」だけでなく初代と2、加えてドキュメンタリーも上映してくれるのがさすが塚口といったところ。
 反対側はみんな大好きタラパティことヴィジャイ氏特集。壁一面からイケメン風が吹いてきそう。「マスター 先生が来る!」のマサラ上映も決定しているのでまた壮絶なチケット争奪戦が勃発しそう
 さて本作の感想行きましょう。
 主人公ハヌマントゥは毎日をのんびり生きる平凡な青年。そんな彼は、山賊に襲われた幼馴染であるミーナークシを救おうと奮闘するものの、海に転落してしまいます。海中に沈みゆくハヌマントゥは、海の中に光る不思議な遺志を見つけます。その石こそ、猿神ハヌマーンの力を封じ込めた宝玉だったのです。
 その宝玉は、太陽の光を受けることでハヌマントゥに超人的な力を与えます。その力で村にはびこる圧政を退け、一躍英雄となるハヌマントゥ。しかし、いっぽうでその石の力を狙う悪の組織が村に忍び寄っていたのです……。
 いやー面白かった!
 話の筋は非常にストレートなヒーローもので、変にひねくれたところもなく素直に楽しめた感じ。また主人公ハヌマントゥがまた朴訥かつお調子者な性格で好感が持てました。そんな彼がハヌマーンの力を得たことで次第にヒーローとしての自覚に目覚めていくという展開に、思わず応援したくなってしまいます。
 また、彼を取り巻く村の人々もいいキャラしてて好き。主人公の姉であるアンジャンマが強く優しい弟思いのねーちゃんで好き。なかなか結婚しない理由というのも「弟が心配で別居できないから」というのがもうね……。
 そしてハヌマントゥの友人もまたいいキャラだったなあ。ハヌマントゥとケンカしつつも彼を心配してるのがいいし、彼が村を救ったときに真っ先に快哉をあげるのがいいな。こういうヒーローものはヒーローの周りの人々が魅力的だと一気に作品の魅力が上がりますよね。
 そしてもうひとつヒーローものの魅力を上げるのがヴィラン。悪役が魅力的なヒーローものは当たりですよ。
 本作のヴィランであるマイケルは、主人公であるハヌマントゥよりも先に登場するんですよね。ヒーローに憧れる少年であった彼は、わざと蜘蛛に噛まれたりマントを着けて屋根から飛び降りたりしてヒーローの特殊能力を身につけようとしていました。
 ここまでなら誰もが多かれ少なかれ経験していることですが、マイケルはここからさらにエスカレート。「テレビの中のヒーローは親が死んでから能力に目覚めている」ということから、火を放った家に両親を閉じ込めるという暴挙に出ます。
 そこから彼はパートナーの科学者と一緒に自作の強化スーツを製作し、夜毎悪人を成敗しています。このスーツ姿と各種武器がけっこうあからさまにバットマンなんだよな。
 マイケルは作中ではいわゆるヴィランとしての行動の方にフォーカスしててキャラとしての掘り下げはあんまりないんですが、この冒頭の主人公よりも先に出る回想シーンがかなりインパクトがあります。
 作中では「ヒーローの条件は特殊能力じゃなく、善と徳をなす力」という台詞があるんですが、ハヌマントゥが「善と徳をなすヒーロー」であるなら、マイケルは「ヒーローの条件を特殊能力のみだと思い込んだヴィラン」なんですよね。冒頭の回想シーンで両親を事故に見せかけて殺害したあとに、ヒーローのポスターに囲まれた部屋の中で恍惚の表情を浮かべるマイケルの姿はかなり異様でした。
 このハヌマントゥとマイケルの対比は、単にヒーローとヴィラン、善と悪というだけに留まらない気がします。素顔のままで戦うハヌマントゥに対し、スーツで顔を隠しているマイケル。皆の利益と平和のために戦うハヌマントゥに対して独善的な行動を続けるマイケル。ヒーローとしての動機はマイケルのほうが明白なのに、ヒーローとして成り立っているのはハヌマントゥの方という対比が印象的でした。
 また、ハヌマントゥはあくまでハヌマーンの力を借りているという描写もよかったですね。「信仰」というとどうしてもシューキョー的な胡散臭さを先に感じてしまいますが、インド社会における信仰とはもっと素朴で当たり前のものであり、このハヌマーンの力も単なる超パワーではなく信仰の力というのがわかります。
 個人的にすごく良かったのが、スーツを纏っているマイケルに対しそのままの姿だったハヌマントゥが、終盤で紅粉で上半身が赤く染まったところに黄色の色粉で胸を染めることで「赤いマントに黄金の装飾を持ったハヌマンの姿」に満を持して「変身」するところ。やっぱヒーローは変身してほしいよな。
 終わり方からすると続編がありそうなので、続編もぜひ日本公開してほしいところ。
 あとバーフバリのパロディやるところで笑ってしまった。
 2本目はこの作品!
 これまたいつの間にか上映終了が迫ってきてたので慌てて見に行った作品。
 本作は架空のインドの都市を舞台にした作品ではあるものの、いわゆるインド映画というわけではありません。制作はかの「NOPE」や「ゲット・アウト」のジョーダン・ピール。しかも制作陣は「ジョン・ウィック」シリーズのスタッフということで、いったいどんな作品なんだろうと強く興味を惹かれて見に行きました。
 幼い頃闇社会の組織に母親を殺された主人公・キッドは、猿のマスクを被って非合法の賭け仕合に出場する「モンキーマン」として生計を立てていました。しかしその胸にいまだ燃えるのは母の仇を討つという復讐心。
 とうとう母の敵である組織の本部へ、酒場の従業員として潜入することに成功したキッド。復讐のときは来た。今こそ奴らに反撃だ!
 「猿のマスク」という時点で勘づいた人もいるかも知れませんが、本作も「ハヌ・マン」ほど直球ではないにせよハヌマーンの神話がそのモチーフとして取り入れられています。とはいえ本作の主人公キッドは、「ハヌ・マン」のような荒唐無稽な超パワーではなく純然たる、そして生々しい暴力で復讐を成し遂げます。
 その戦闘シーンは、前述の通り「ジョン・ウィック」シリーズのスタッフだけあってスタイリッシュ&バイオレンス。銃撃戦よりも格闘に多く比重を寄せた戦闘シーンはかなり凄惨で「復讐」というテーマをアクションで魅せている印象でした。
 多くは直接的に語らず戦闘シーンで魅せるタイプの作品で、いわゆるインド映画的なスタイルではありませんでしたが、やはりというべきか宗教的な要素、そして音楽的な要素は入ってました。架空とは言えインドを舞台にするならこのふたつの要素はどうしても入ってきますよね。
 特に印象的だったのが、重症を負ったキッドを助けた「ヒジュラ」と呼ばれる人々のコミュニティ。社会の表には出ずに隠れ住んでいる少数宗派のような人たちだと漠然と思ってたんですが、調べてみるとヒジュラとは「アラビア語で『移住』を意味する、ある地から別の地へと移動すること」および「ヒジュラー」と言った場合は「男性でも女性と同じようにサリーを身に着けている男性・女性以外の第三の性別」とのこと。なんか見てて違和感を覚えたんですが、そういや男性がサリー着てるんだよなこのシーン。
 キッドはしばらくの間このヒジュラのコミュニティに身を寄せることになるんですが、このシーンのヒジュラの老人が奏でる太鼓(タブラで合ってる?)に合わせてサンドバッグを叩くところがとてもインドで好き。このシーンはキッドが自分のアイデンティティを確認する意味があったのかな。
 そして3本目はこの作品!
 「タイトルは知ってるけど実際に見たことはない作品」というのは世の中にまだまだたくさんあるわけですが、本作もそんな作品のひとつ。サンサン劇場ではこうした作品を上映してくれるので「タイトルは知ってるけど実際に見たことはない作品」がだんだん減っていきます。
 本作はゾンビ映画の金字塔である「ゾンビ」=「Dawn of the Dead」のパロディ。そういやネタ元の「ゾンビ」ってちゃんと見たことあったっけな……。
 ネタ元が古い映画なのでこっちも古い作品のイメージがありましたが、調べてみるとこれ2004年の作品だったんかい。通りで作中で鉄拳2とか出てきたわけだ。
 で、感想なんですがまず言わせてもらいたいのがテレビの横に書いてた「みむめ」とかいう謎のひらがなはいったいなんなんだよ。
 ブレードランナーの看板とかもそうですが、洋画に出てくるトンチキ日本語からしか摂取できない栄養素がある。まあ別にいらないんですがそんな栄養素。
 そして本作、ゾンビもののお約束を全部やっておきながら基本的に登場人物が全員アホなのがとても楽しい。なんだよこの無駄にスピード感あふれるグダグダ展開は……。
 特に主人公であるショーンと親友のエドがやること為すこと全部アホなんですが、なんというかこのふたりを見てると頭が小学2年生のまま大人になった友達って感じでなんだかうらやましくもある。エドはまあ昼間からビールかっくらってだらだらしてるロクでもないヤツなんですが、それでも彼女に振られたショーンを慰めてあげたり終始ショーンに協力的だったりといいやつではあるんですよね。ろくでもないけど。そして最終的にはショーンとリズを逃がすために犠牲になるのが実に漢。
 通して見るとたしかにお馬鹿な映画ではあるんですが、ゾンビ映画に必要なものはすべてそろってますしドラマチックな展開もあるし、おちゃらけてるようで意外にマジメなゾンビ映画だったかも。
 そしてラストのゾンビ禍が収束した後にゾンビがすっかり人間に飼いならされてしまっている社会の描写はゾンビパニック中の世界よりもずっとおぞましいものに感じられました。喉元を過ぎた後の「日常」の被覆力の大きさたるや。もしかしたらこのシーンこそが本作のいちばんのキモだったかもしれません。
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塚口サンサン劇場「ハヌ・マン」「モンキーマン」「ショーン・オブ・ザ・デッド」見てきました!
初公開日: 2024年10月31日
最終更新日: 2024年11月01日
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