世に忌むべきものは無数にありますが、我々オタクが蛇蝎のごとく忌み嫌っているのが「実写化」の3文字です。
 わたくし人形使いが思うに、この実写化の失敗パターンは大きく分けてふたつ。すなわち、ひとつは余計なオリジナル要素や監督の思想などの不純物が混じってしまう「別物」パターン。ひとつは必要な要素が足りていない「それ未満」パターン。
 さかしまに言えば、このふたつの条件に当てはまらないように作られた実写化ならば成功するということ。しかしそれは簡単にできることはでなく、「成功した実写化」と呼ばれるにふさわしい作品が世に出るたびに、我々オタクは感涙にむせび泣くわけです。喜びでな。
 そしてこの2024年、その「成功した実写化」にふさわしい作品が、58.0m、600.0tの巨体で立ち上がる!
 本作を実写化したのは、日本以上に人気があるというフィリピンのマーク・A・レイエス監督。なんでもフィリピンでは実写版TVシリーズ全90話と劇場版が制作されたとか。
 そして本邦で公開された本作は、リマスター作業と追加映像をプラスした「超電磁編集版」!
 公開前に流れてきた原作アニメを完コピした合体シーンは清く正しいおとこのこのハートをゴッドハンドスマッシュ、これはもう成功だと確信したわけですよ。
 そして実際に見てみると、まあよくぞここまで練り上げた! キサマのその克己心に愛すら感じるッッッ! と範馬勇次郎になってしまいました。
 キャラクター名やデザインこそ変更されていましたが、その程度はまったく問題にならないレベルの完成度でした。
 映像が良いのはもちろんのこと、ちゃんと「巨大ロボットバトル」をやってくれているのが非常にディ・モールトベネッ! 僕は敬意を表するッ!
 わたくし人形使いの巨大怪獣・ロボットバトルシーンにおけるこれ嫌いポイントはなんと言っても「暗い、もしくは雨・嵐で画面がよく見えない」(※このブログは平和なほのぼのブログなので特定の作品名を出すことは控えます)なんですが、本作におけるバトルシーンであるvsドグガガ、vsバイザンガのシーンはふたつとも真っ昼間の地上戦で、メカのディティールもはっきり見て取れるのでじっくりたっぷりねぶりあげるよーにボルテスVの勇姿を鑑賞できるってもんですよ。
 そしてこの令和に蘇ったボルテスVがまあカッコイイのなんのって。おとこのこはいくつになっても巨躯(デカ)くて超重(おも)いものが暴れまわるのが大好き!
 本作では思い返してみればバトルシーンと呼べるものは前述の2シーンだけ、さらには本作全体の尺も97分と決して長尺ではありません。しかしその満足感は十分!
 この満足感をもたらしてくれているのはやはり巨体どうしのぶつかり合いをしっかり描いてくれている点でしょう。ボルテスVはいわゆるスーパーロボットの中でも非常に豊富な武装を持っているんですが、本作では合体前・合体後ともにそれらの豊富な武装を使いつつも、基本的に敵であるビースト・ファイターとのバトルは殴る蹴るの肉弾戦を明らかに多めに使ってるのが実に理解(ワカ)ってる。鋼の巨体と巨体、鋼の拳と拳がぶつかり合うだけで心の中の小学2年生3万人がスタンディングオベーションですよ。
 特にvsバイザンガで顔面に拳を受けつつも怒りの反撃を食らわすあのシーン最高。本作のバトルシーンは実にスーパーロボットらしい重々しいアクションで楽しませてくれます。
 そしれこれまた清く正しいおとこのこなら誰もが大好きおなじみの必殺技も最高。本作のような往年の作品のリメイクや実写化ではそのディティールアップが楽しみな点ですが、本作ではそこもしっかり押さえてくれています。しかも、ただ単にデザインやギミックを刷新しただけでなく、「あの頃の僕たち私たち」が見ていたボルテスVの延長線上にあるデザインとギミックになっているのが素晴らしい。特に超電磁ゴマと天空剣のデザインとギミックは見てるだけで泣けてくるほどカッコイイ。カッコイイって大事。
 そこから繰り出される必殺の技、「天空剣Vの字斬り」!!
 この技の要諦は深々と切り込んだ刀身を返すあの動作であることは言うまでもありませんが、本作ではそこをしっかり再現しているのはもちろんのこと、「ここ! ここが大事なんですよね! わかってます!!」と言わんばかりに強調してるので、わたくし菩薩のほほ笑みを浮かべつつスクリーンに向かって合掌ですよ。
 本作は総集編ということで多少のツギハギ感を感じる部分もありましたし、キャラの深堀りやストーリーも途中で終わってしまった感じでしたが、そもそも本作のストーリーは「わるいうちゅうじんがせめてきたぞ! ちきゅうがピンチだ! たたかえぼくらのボルテスV!」で十分なんですよ。そして本作はこの範疇から一歩も出ていない。これがまた素晴らしいんですよ。
 しかし……ひとつだけ明確な不満がありました。今回見たのは字幕版だったので音声はたぶんフィリピンの公用語であるタガログ語。
 そう、スーパーロボットには絶対に欠かせない要素があります。それは「技名を叫ぶこと」。「レーザーソード」じゃダメなんです「天空剣」じゃないと! ここはどうしても譲れない!
 どうしても我慢できなかったので当日のうちに吹替版も見ることにしました。見られるときに見ておくのだ。
 けっこう時間が開くのでヨドバシに行って食事を済ませたりブックカバーを買ったりと用事を済ませます。オタクは1日のうちに複数の用事を詰め込みがち。
 そして早めに大阪ステーションシティシネマに戻ると、金曜の夜だからか大量のカッポーのみなさんが夜景を楽しんでおり場違い感に苦しみ悶えるわたくし。
 そうした塗炭の苦しみを乗り越えて、今度は吹替版を鑑賞します。
「天空ゥゥゥ!! 剣ッッッ!!!」
~~~~~~~~~~~~ッッッ(打ち震えている)
 これだよこれ。「天空」と「剣」で切るこの発音が実にいいんだよ(ろくろ)。
 主人公スティーヴを演じる小林千晃氏、わたくし不勉強でどんな役を演じられている方かと思ったらブギーポップで竹田啓司、フリーレンでシュタルクやってた人か!
 気合の入ったシャウトが実に素晴らしかったのでどんどん売れっ子になっていただきたい。
 冒頭に書いた通り、我々オタクは実写化の3文字を蛇蝎のごとく忌み嫌っています。だからこそ、本作のような深い愛と理解とリスペクトで作られた作品には万雷の拍手を送るべきなのです。そしてこういう作品が作られることによって「実写化」という言葉のマイナスイメージも徐々に払拭されていってくれればこれにまさる幸福はありませんってなもんですよ。
 つうわけで次はコンバトラーVの実写化をですね? あと個人的にダンバインは実写化向きだと思う。
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大阪ステーションシティシネマ「ボルテスVレガシー字幕/吹替」見てきました!
初公開日: 2024年10月26日
最終更新日: 2024年10月26日
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