夢の中で泣いてしまおう。だからこそ、今はあえて目を開いていようと考える。乾く寸前まで眼窩に力を込め、あくびを促す事も無く…ただ目の前を見据えていようと考える。
 その行為は自分がただ選択したものである。今時分は眠る時間ではなく、己の睡眠時間ゆるがすのが好みではないから、あえて目を見開いているに過ぎない。ここで涙を流して、きれいさっぱりと心を洗い流すのも自由に選択出来るものである。だがその選択は避けた。自由でいて不自由な選択の連続の中で、綺羅星を忘れようと試みて、このような無駄な行動をわざと選択しているのだ。胸中の虫はとうに逃げ去った。穴が空いた胸は血潮が流れている。このまま刃物で刺して、肉を開いてみたとしたら、覗いた先には穴の開いた心臓しか無いのだろう。その穴がいつ塞がるのかは常々分からぬ。見当もつかない。途端に唐突に涙が込み上げて、瞳を濡らした。垂れるまではいかない。ただ、泣かないという選択は少々のところしんどいのだった。
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