夏が過ぎていく。
夏が終われば来るのは秋である。この地獄でも四季というのは僅かながらに存在しているのだ。
「ついにこの時が来た……!!」
“九月になると鹿は発情期に入る”。
勤勉な読者諸君ならば既に取り入れている知識だろう。
では質問。
このペンタグラムシティで鹿といえば誰を思い浮かべる?
ヴォックステック社CEO・ヴォックスはこう答える。
鹿といえばアラスター。
アラスターといえば俺の恋人。
「アラスターが発情期に入る!!」
というわけで、ヴォックスのテンションは最高にハイになっていた。長年想いを募らせていた男が、普段は性行為を大いに嫌う男が、色欲に溺れるのだ。”アラスター” ”発情期”という言葉だけで、どこがとは言わないが、もうビンッビンッである。
休憩室のソファに乗り上げておおはしゃぎするヴォックスに、「あ、そう」とヴァレンティノはスマホを弄りながら返した。ヴェルベットは早々に興味を失くしたので仕事場に戻っている。
ヴォックスが何故こんなにもおおはしゃぎしているのか?
ヴォクアラ界では発情期でパニくったアラスターをヴォックスが介抱するというあるあるネタが流通している。そこでアラスターがヴォックスの愛を再確認するのだ。おお、メタいメタい!
めっちゃ雄雄しい座り方をしているアラスター。周囲にはヴォックスの衣服があるのがポイント。
『……ヴォックス』
「はい」
『一週間ほど私に近付くな。相手がいる中での発情期はこれが初めてだ。お前が近付くとどうなるか分からん』
「はい」
『優しくできないから近寄るな』※受けです。
「(抱いてくれ!!ケツで!)」※攻めです。