喫茶店
その奥まったところにある喫茶店が私の逃げ場だった。ここでは私を縛るありとあらゆる目線から解き放たれて1人になれる。
その喫茶店は仮面を作って生きている私が唯一素顔を晒せる場所だった。マスターもよく私の話を聞いてくれる。
「どこでもこんな風に素直に過ごせれば良いんだけどね」
「そのままのあなたと共にいられる特権が失われるのは困りものですね」
そんな風に言われて困るのは私の方だけど、悪い気はしない。
生きるために仮面を被っている私が唯一素顔を晒せる喫茶店。そのマスターはいつも私が戸惑うようなことを言う。
「どこでもこんなふうに素直に過ごせたらな」
「あなたの素顔を見る特権が失われるのは寂しいですがね」
返答に困るけれど、そのままの私を嫌わないでいてくれることは、嬉しかった。
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