木も草も土もない真っ白な大地が果てしなく続いている。
 しかし、動くものがわずかにある。
 上から見ればその姿は、雪と氷が延々と続くその大陸の上に点々と見える黒い点にしか見えないだろう。
 目を凝らすものがいれば、黒い点は他にもあることが見てとれるだろう。他にある黒い点は動かない。屍だ。まだ動きを止めない黒い点は、群れとも言えないほどの数で寄り集まって歩き続けている。
 やがてその数個の点を覆い尽くすほどの嵐が来た。極寒の環境と強烈な冷気を伴うこの嵐は、この場所におけるほとんどの動植物の生存を許さない。ほぼ全土が分厚い氷床に覆い尽くされ土壌が露出していないこの場所にはわずかなコケ類、藻類、地衣類しか生息しておらず、動物の姿も見られない。
 そんな過酷な環境の中で唯一動いている黒い点は、嵐を避けられる場所を探して移動し始めた。しかし、周辺にはあるのは平坦な氷の大地と降り積もる雪のみで、遮蔽物になりそうなものはなにもない。
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初公開日: 2024年05月20日
最終更新日: 2024年05月20日
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