人混みを避けるためという以上に、映画館内の客層に問題があることが時々あるのでいわゆる話題の新作を公開日にはあまりに見いかないわたくしですが、そうなると今度はネットでネタバレに出くわす危険が増すのでその前に見に行かねばということで、少しずつネタバレが漏れてきそうな雰囲気を察して先手を打つべく見てきましたこの作品!
わたくし人形使いはこの日記で度々言っている通り、未見の映画を見るときは極力前情報は入れずに行きます。しかし本作のように話題性が大きな作品は公開から数日でどうしてもネタバレの片鱗が流れてくるもの。
本作に関しては鑑賞前に致命的なネタバレはなかったものの、ちょくちょく漏れ聞こえる声がありました。それによると、
・モスラが出るっぽい?
・怪獣プロレス比率が非常に高い
・コングの虫歯を抜くシーンがある?
・やってることがほぼヤンキー漫画
といった感じ。
それでは感想を書いていきましょう。なお今回の感想はネタバレ全開になるのでネタバレ嫌な人は回れ右でお願いします。って言っても今回はそこまでネタバレが気になるような内容でもなかった気がしますが……。
まず総合的な評価なんですが、一言で言うと「超豪華版東映まんがまつり」といった感じ。
なんかもうストーリーがどうとか人間ドラマがどうとかいう以前に強いぞコング! 負けるなゴジラ!という精神性10歳のノリと巨額の費用が悪魔合体してできた怪獣大バトルお子様ランチといった感じでとてもいい。「バトルシップ」とかと同じノリです。
もう序盤から終盤までバトルバトルの連続で飽きさせません。というか本作、人間ドラマのかなりの部分をうまいこと人間にごく近い怪獣であるコングに仮託することで怪獣バトルの比率を落とさずに人間ドラマも組み込んでいるという気がします。これはコングという怪獣が登場する本作にしかできないうまいやり方だと思うとともに、改めてキングコングという怪獣の特殊性を感じさせられました。
本作の人間ドラマパートを担当しているのが、前作にも登場した言語学者アンドリュース博士と、彼女の養子でかつて髑髏島に住んでいたイーウィス族の唯一の生き残りである少女ジア。
ジアはアンドリュース博士に引き取られて学校に通っているも友人ができず、博士ともまだ打ち解けられていません。彼女は自分の居場所が得られない状態になっているんですね。そしてジアと同じように、コングもまた広大な地下世界で最強の存在となっているものの、自分と同じ種族がいないという状況で、両者は共に孤独を抱えているんですね。その点でジアはコングにシンパシーを感じており、本作ではこのふたりがともに「自分の居場所=故郷を見つけること」が大きなテーマになっています。
このように本作のコングは怪獣バトルと人間ドラマの両方を担当しているわけですが、映像の進化で見るコングの表情の豊かさよ……。本作では明らかにコングの表情をしっかり見せるためにアップになるシーンが多いんですが、大スクリーンで見るコングの表情は驚くほど細やかで、彼がどれほど豊かな情緒を内に秘めた存在であるかを改めて感じました。これはコングにしかできない部分だと思います。
そしてコングは作中で絶滅したと思っていた同じ種族の子猿であるスーコを発見するのですが、このスーコとのやり取りがまたいい。両者ともに人間ではないので直接的な言葉は使わないんですが、その評定や仕草などで不思議と彼らの会話がわかってくるんですよね。「ラドンもそうだそうだと言っています」の吹き出しが見えそう。
喋れないので手話で会話をする博士とジア、言語こそないものの明らかに高度なコミュニケーションを取っているコングとスーコ。テレパシーで会話をするイーウィス族たち、そしてコングとゴジラの言葉なき共闘。本作はこうした「非言語コミュニケーション」が前面に押し出されている気がします。改めて考えると、「言語を介さない怪獣同士の会話」が本作の大部分を占めていたんじゃないですかね。
本作はどちらかと言うとコングの方にフィーチャーした内容となっておりゴジラの方の掘り下げはあまりないんですが、ではゴジラの魅力が少ないかと言うとそんなことはありません。序盤からコロッセオをねぐらにしているというユーモラスな姿を見せてくれたかと思えば、120メートルの巨体で猛然と街なかをぶっ壊しながら走り出すシーンは大迫力。海中を泳いだり地中から現れたりと豊富なアクションを見せてくれるその姿はまさに「怪獣王」の面目躍如といったところ。そして本作で一番好きなのがコングとのバトルシーンでのブレーンバスター! 文字通りの怪獣プロレスに脳内の小学3年生5万人がスタンディングオベーションですよ。
これは前作「ゴジラvsコング」の感想でも書いた覚えがあるんですが、序盤から罠や道具を使うという知性での戦いを見せてくれるコングに対して、圧倒的な巨躯とパワーで立ちふさがるすべてのものを叩きのめす野性での戦いを見せてくれるゴジラという対比がたまりません。
本作の新キャラにも触れておかねば。本作の敵となるのは地下世界でコングと同じ種族であるグレイト・エイプたちを支配している凶悪なタイタン・スカーキング。こいつのキャラ造形がまたこれまでになかったタイプで面白かったです。
前述の通りスカーキングはコングと同じ種族であり、その姿は巨大なテナガザル。なのである意味見慣れた姿であり、パッと見のビジュアルインパクトはそんなに大きくなかったんですよね。しかしこいつがまたコングと同種族ということでほかの怪獣にはない表情を持っているのが実に「効」く。
前述の通りコングはその知性を持って罠や道具を使いこなすわけですが、スカーキングはグレイト・エイプたちを支配し王として君臨している、かつて地球に氷河期をもたらした氷のタイタン・シーモを苦痛を以て従わせるといった狡猾さを持った敵。怪獣映画数あれど、ここまで人間的な狡知を持った怪獣ってなかなかいないと思います。個人的にスカーキングと他の怪獣を大きく隔てる能力として「騎乗」を挙げたい。最終決戦でシーモに騎乗して攻めてくるあの姿はどんな特殊能力よりもインパクトのある姿でした。スカーキングはいわば怪獣の強大な力と人間の知性とを併せ持った敵なわけですよ。
それに対抗するコングもまた、怪獣の力に加えて人間が作ったパワーグローブを装着して戦うという対比がまたいいな。というかシンプルにかっこよすぎる。
そんな感じで本作はベクトルを思いっきり大怪獣バトルに振り切った作品なのでデカいスクリーンで見ろ!!