三機の飛行機が西へ向かって飛んでいく。
雲ひとつない大空を誇らしげに飛んでいく。
近所の子供たちが飛行機を追いかけながら手を振ると、一機の飛行機がそれに応えるようにゆらゆらと羽根を上下に振った。
子供たちはお大喜びで飛行機が空の彼方に消えて見えなくなるまで手を振っている。
風が、ふわりと香った。
雨風が雨戸を叩く音で目を覚ました。
昨夜遅く東海地方に上陸した台風はゆっくりと北上し、現在関東地方で猛威を振るっている。
雨戸を閉め切った暗い部屋で枕元のスマートフォンを手繰り寄せ、画面を開いた吉行はその眩しさに思わず目を細めた。
体が重い。頭も重い。ついでに瞼も。今日のタスクを確認するために開いたスマートフォンが手からこぼれ落ち、吉行の意識は夢の輪郭を捉え始めた。
青一色に染まった世界。
キラキラと光る地面が海だということに気付いたときには、目の前には別の青が広がっていた。
それが空だということに気付くには少々時間がかかった。
「見えるか? あれがオレの生まれた町だ」
操縦桿を握るのは兼定だ。
窓の外には小さな港町と丘と岬が見えていた。
兼定の生まれ育った町は、やはりとても美しかった。
機体が大きく旋回し、また海の青が視界に映った。
海面がキラキラと眩しい。
眩しい。
海面は太陽そのものを飲み込んだかのように明るく光りはじめ、やがて本物の太陽になった。
次に気付いたときには機体は自分の遥か上空を飛んでいた。
逆光の中で見失わないよう、目の上に手をかざしながら見送った。
近くの子供たちの甲高い声もまたキラキラしていた。
溌剌としたその声には喜びがあった。希望もあった。憧れもあった。
明太子やけたー!
終わりっ!