冬コミ戦利品レビューも残り8作品となりました。まあなんとか1月中に終わるかなあ終わるだろう。
・幻想郷に、〒(ポスト)ができました。 剣術を扱う程度の手紙編 剣術を扱う程度の手紙 死ねない程度の手紙 心が読める程度の手紙(すずだんご)
 毎回意外な媒体を利用して幻想と現実の世界を結んでくれる本サークルさんの作品、今回の媒体は「手紙」です。
 タイトルから分かる通り、本作は小説本に加え、それとは別に小説本に対応した封筒入りの手紙があるという形になっています。なお、「死ねない程度の手紙」と「心が読める程度の手紙」は小説本の方が残念ながら品切れだったので手紙のみ入手しました。
 このサークルさんが出しているさまざまな媒体を利用した二次創作作品には、しばしばその不可逆性をも作品の一要素として取り入れているであろうアイテムがあります。テレホンカードは使用回数と使用期限が定められており、ソノシートはほかの記録メディアに比べれば耐久性は圧倒的に低い。つまり、使用前の状態を保てないことが前提になっています。
 本作の手紙も同じく、封筒に入った状態になっています。そのため、読むためには封を切らなければならず、一度封を切れば二度と封を切る前の状態には戻せない。この不可逆性こそが、本サークルの作品における「幻想と現実の一時的な接触」を実現していると言えるでしょう。
 また、前述のテレホンカードやソノシートは現在使われていないオールドメディアですが、本作における手紙もまた同じく、現代においては一線を退いた、東方的に言うところのいわゆる「幻想入り」しかけている媒体です。そうした「幻想入り」した媒体でもって幻想と現実の世界をつなぐというのがまたいい。実際、「手紙の封を切る」なんていう作業をしたのはずいぶんと久しぶりでした。これらのアイテムを手にした者にそうした郷愁を呼び起こすこともまた、このサークルさんの発表しているオールドメディアを用いた作品の狙いなのではないでしょうか。
 小説の方は、幻想郷に出現した今はもうすっかり見なくなった円筒状の赤いポストを通じて、妖夢が自らの悩みをしたためた誰に宛てたわけでもない手紙を外の世界に向けて出すというもの。そしてこの小説と対になっている手紙が、まさに作中で妖夢が書いた手紙というわけです。非常にシンプルな方法で幻想と現実をつなぐこの手法よ。
 手紙の詳細な内容を個々で紹介するのはプライバシーに関わるので避けますが、その内容は自分の悩みを誰にともなく、そして外界の人間に対して語るその内容は読んでいて不思議な気持ちになりました。
 「人間は虚構を信じられる唯一の存在である」とは「グリッドマンユニバース」にて怪獣少女・アノシラスが語った言葉ですが、「死ねない程度の手紙」「心が読める程度の手紙」もともに、特定の誰かに宛てたわけではない、しかし「こちら」に向けて語っているその語り口に、「幻想郷」という虚構に不思議な現実感を覚えました。
 今日はここまで。
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