ダメージが大きく残弾も心もとないのに加えて、パイロットである青年・ワンの体力に限界が近づいてきていた。緊急用の戦闘薬は数本残ってはいるもの、体力が低下しメンタルの状態も不安定なこの状態で使用するのは生命の危険がある。
『ほらぁ。こうなったもう手段はひとつだよね? これ以上マトモに相手してても追い詰められてジリ貧だよぉ? ところで、私にこのピンチを脱出できるい~いアイデアがあるんだけどなあ?』
 狭苦しいコックピットとヘッドセットの中に、甲高い子供――少女の声が響く。その声が耳ざわりで、ワンはヘッドセットを脱ぎ捨てたい衝動に駆られたが、戦闘情報を統御し各種情報を網膜ディスプレイているこのヘッドセットは、文字通りの目だ。しかし、そのヘッドセットから情報される情報はどれこれもワンがこの状況を逃れることなどできないことを証明する数値だけだった。残弾、機体損壊度、敵の機体数と武装、そして地形までもが、彼が完全に追い詰められていることを示している。
 しかし――彼には最後の手段があった。できる限り使いたくない最後の手段が。この手段を使えば、たしかにこの場を切り抜けることは可能だろう。しかし、それが使えるのは5秒未満というごく限られた時間のみだ。それが失敗すれば機体のエネルギーは完全に使い果たしてしまう。
 さらに、問題はそれだけではない。しかし、もうこれ以外この状況を切り抜けられる方法がないことは、ワンには十分すぎるほど分かっていた。
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紅楼夢表紙お礼SSを少しだけ書いていきます。
初公開日: 2023年11月13日
最終更新日: 2023年11月13日
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