「クソったれが! 囲まれたか!」
回避機動を取ろうとした瞬間、前後から放たれた火線が交錯し、右前腕が装備していたアサルトライフル「スターファイア」ごともぎ取られる。これで使用可能な武装は背部ウェポンラックの中型ミサイル「バラクーダ」4発と左腕部のレーザーブレード「カットラス」のみ。
かろうじて横滑りにブーストし放置された重機の影に隠れるが、その瞬間にミサイル警告が狭苦しいコクピット内を埋め尽くす。
警告色に真っ赤に染まった狭いコクピットの中に、ビープ音に混じって甲高い声が響き渡る。
『ざっこ❤︎ あんな弾に落とされた挙げ句リンチされそうになってるとかwww 無様なワンちゃ〜ん❤︎』
「うッッッせえんだよガキがッ!! 死にたくなきゃ黙ってろッ!!」
メインモニタに向かって怒鳴りつけるのは、アジア系の顔立ちの青年。コクピットにいるのはその青年ひとりのはずだが、コクピット内にはなおもビープ音を押しのけるくらいの大音量で、子供の声が響いている。
『ほらぁもう装甲ボロボロ❤残弾スカスカ❤ もうごめんなさいしたほうがいいんじゃな~いwww』
ヘッドセットを兼ねたヘルメットとの皮膚の間に挟まれた血管が破裂しそうになるのをこらえながら、鉄塊となって崩れ落ちる重機から離れる。
素早く周囲をサーチ、しかし掩体になりそうなものは残っていない。あったとしても、5体の敵に囲まれたこの状態では持久戦は死につながる。どのみち武装も残っていない。