(原作EDパート)
「やったあー! わたしの勝ちー!」
 二人がかりの嵐のような弾幕、そして激しいダンスバトルを制したのは……ルーミアでした!
 流石に息が上がっていますが、よほどうれしかったのかルーミアはぴょんぴょん飛び跳ねています。
「あははは、お見事だ!」
 力を使い果たして地面にへたり込んだまま、舞が称賛の言葉を送ります。
「この子、かなりできるわね……!」
 里乃も、肩で上下させながら拍手してくれました。
「舞ちゃんも里乃ちゃんも、ものすごく強かったけど! やっぱりわたしにはなにかとてつもない力が眠っている……!」
 自分の身に起きた異変のことをわかっているのかいないのか、ルーミアは無邪気にはしゃいでいます。けれど……本当にそうなのでしょうか?
「ふたりとも、素晴らしい舞だった」
 そこへ、謎の声が響きました。
「その声は!」
 舞が思わず振り向いた何もない空間に、突然ひとつの扉が現れました。その扉の向こうから姿を現したのは、金色の長い髪に冠を被った女の人でした。
「お師匠さま!?」
 里乃も驚いた声を上げますが、その人はルーミアには見覚えのない人でした。いきなり現れたその人に、ルーミアもびっくりです。
「って、わ……わっ!? 急に扉が現れて……!」
「ご機嫌よう、皆の衆」
 挨拶するその人の声は不思議に落ち着いていて、聞いているとなんだか安心します。それに、なにもないところからいきなり現れるところやその雰囲気が、なんだかすごい力を持った人のような気がしました。
「何も言わず家を開けられると、私も少し困るんだ。お前たち、そろそろ家に戻ってくれるな?」
「え、舞ちゃんたち、だまって家出してたの? ダメだよ、おうちを出るときはお家の人に言わないと」
 妖怪とは思えない良識的なルーミアの言葉に、舞と里乃は思わず顔を見合わせます。
「あー……、そ、そう、だね?」
「この子、すごくいい子なのねぇ……」
 そんな二人の様子を、「お師匠さま」と呼ばれたその女の人はにこにこしながら眺めています。
「その子の言う通り、外で踊り回るときは私に一声かけてくれ。もう一度四季異変が再来してしまっては、巫女たちが黙っていないだろうから。そうならないようにちょっとした策を打って、こうしてうまくいったわけだがね」
「策……?」
「もしかして、この子のことですか?」
「???」
 舞と里乃はそろってルーミアの方を向きますが、ルーミアにはなんのことだかわかりません。
 そんな三人の様子を愉快そうに眺めて、女の人は話し始めました。
「……さて、種明かしといこうか。お前たちを大人しくさせ、帰って来るようにするには、正当な弾幕勝負でだれかに負けてもらうのがいちばんいいと思った。私は、あまり派手に力を振るったり見境なく襲いかかったりしなさそうな者を探し……」
 そこで女の人は、ちらりとルーミアの方に視線をよこしました。ふしぎな色をした瞳が、ルーミアを見ています。
「後戸を使って力を与え、お前たちと弾幕勝負をするように仕向けた。この子が異様に強かったのは、お前たち自身の能力のためだな」
「なんだってー!」
「どうりで……なんだか、戦っていてちょっとだけ変な気はしたのよ―」
「……って、あれ? それって正当なの?」
 納得した様子の里乃と首を傾げる舞。そしてルーミアはというと、少しがっかりしたような顔をしていました。
「えーっと、それってつまり……別にこれ、わたしの本当の力じゃなかったってこと? ちょっとしょんぼり……」
 今まで楽しく踊っていたのに、ルーミアは残念な気持ちになってしまいます。と、ルーミアのうつむいた頭に女の人が手を乗せてくれました。女の人はルーミアの頭を優しくなでながら続けます。
「おっと、落ち込むのはまだ早いぞ? そんじょそこらの妖怪や妖精では、どれほどの力を注がれてもこのふたりには勝てまい」
 女の人はルーミアの頭を優しくなでながら――いつもルーミアが着けている、赤いリボンに触れました。ルーミア自身には、決して触れないリボン。
「――私が見込んだ通り、お前にはおそらくなにか(傍点)があるのだよ」
「そうなのかなあ……?」
 半信半疑といった感じのルーミアに、女の人は優しくほほえみます。
「少なくとも、潜在能力は十分ということで鍛錬に励むといい」
「鍛錬……が、がんばる!」
 それまで黙って横で二人の話を聞いていた里乃が口を挟みます。
「ちなみに、もしこの子が負けてたら?」
「まあ、そのときは……いずれにせよ、迎えに行くつもりではいたよ。楽しそうに踊り回るお前たちを見ていて、家出をした理由もなんとなく想像はつくんだが。結局は私のもとから逃げるなど不可能だぞ。よく分かっているだろう?」
「はい……」
「……はい」
 やんわりと叱られて、舞と里乃はしゅーんとなっています。そんな二人の肩に、女の人はぽんと手を置いてあげます。
「それに……お前たちは私の大切な部下だからな」
「お師匠さま……」
「……ごめんなさい」
「うむ、分かってくれたならそれでいい」
(ぐーっ)
 と、そこにかわいらしいお腹の音が。音の主は、もちろん食いしん坊妖怪でした。ですが、当の本人は気づいていない様子です。
「……今のって……」
「……ぷぷぷっ」
 舞と里乃は顔を見合わせて、笑いをこらえています。
「……さて、私たちの事情に勝手に巻き込んでしまってすまなかったね。弾幕ごっこに負けた者は、いうことを聞くのがルールだな? なにかお礼をさせてくれ」
 そう言われたルーミアは、少し考えてこう答えました。
「それじゃあ、晩ごはん、一緒に食べたい!」
カット
Latest / 85:45
カットモードOFF
文字サイズ
向き
チャットコメント通知
紅楼夢原稿を書いていきます。
初公開日: 2023年10月02日
最終更新日: 2023年10月02日
ブックマーク
スキ!
コメント
もはや1ミリも余裕がないので紅楼夢原稿を死んだ魚の眼で書いていきます。