謎の二人組の後を追っていったルーミアは、どんどん森の奥に進んでいきました。いえ、ここはほんとうに森の奥なのでしょうか。空を見上げれば、たしかに大きな三日月が浮かんでいます。けれど、ルーミアにはなぜかここが、自分がよく知っている魔法の森とは違う気がしていました。
「うーん、おかしいなあ……なんか変だな―……。さっきのふたりに聞いてみればわかるかな?」
 そう思いながらもルーミアは足を止めません。踊るようなステップで、どんどん先に進んでいきます。「変だな」とは思っても、「こわい」とか「この先に進むのはやめよう」といった気持ちはぜんぜん湧いてきませんでした。ルーミアはなにか、見えない糸にでも導かれているかのように森の奥へ奥へと進んでいきます。
 と、木々のあいだにふと人影がかすめたような気がしました。気のせいではありません。たしかにルーミアが追っていた謎の二人組のひとりです!
「おーい、待ってよー!」
 ルーミアは大声で呼び止めようとしますが、人影は弾幕で返事を返してきました。木々の間を縫うようにして、細長い弾幕が襲ってきます。
「そっちがその気なら! 捕まえたら、正体見せてもらうからねーっ!」
 いきなりの弾幕に、ルーミアは怯むどころか一気にやる気になりました。謎の人影が逃げ、ルーミアが追うという変則的な弾幕ごっこが始まりました。
 立ち並ぶ木々の隙間から放たれる弾幕を、ルーミアは苦労しながらすり抜けていきます。しかし、今日の朝から1日じゅう踊りながら弾幕ごっこをやっていたせいか、だんだんこの変則的な弾幕ごっこにも慣れてきました。最小限の動きで相手の弾幕をかわし、弾幕を正確に正面に捉えてグレイズ。相手の動きを予測して、次の瞬間に相手がどちらに動くかを予測して弾幕を発射。
 今日出会った霊夢や魔理沙、チルノや大妖精はルーミアの弾幕ごっこの強さに驚いていましたが、いちばん驚いていたのはルーミア本人でした。
(すごいすごい……! わたしって、こんなことができたんだ!)
 今までルーミアは、弾幕ごっこに真剣勝負を求めたり結果にこだわったりしたことはありません。ルーミアにとって弾幕ごっこは、「いつもやっている楽しい遊び」以上のものではありませんでした。だからこそ、ルーミアは今の自分の状態に驚いているのです。
 正確なリズムに乗ったルーミアの弾幕に、謎の人影は次第に追い詰められていきます。そして、自分のはなった弾幕の隙間から飛び込んできたルーミアの一撃をまともに食らって、人影は森の奥へと吹っ飛んでいきます。しかし、人影はそのまま森の暗闇に隠れるように姿を消してしまいました。
「ああっ! 待ってよ―っ!」
 ルーミアは慌ててその後を追います。これまでと同じように集まってきた妖精や毛玉を次々と撃墜しながら、ルーミアは人影が消えてしまった方向へさらに進んでいきました。
 しかし、人影はなかなか見つかりません。と、突然弾幕が後ろの方から襲ってきます!
「わわっ!? だれ!?」
 さっきの人影かと思いましたが、どうやら違うようです。さっきの人影は緑色の服を着ていましたが、後ろから襲ってきた人影はピンク色の服を着ています。きっと、謎の二人組の片割れでしょう。
「このままじゃ挟み撃ちされちゃう! それなら……!」
 不意打ちに驚いたルーミアですが、すぐに気を取り直して反撃に出ます。相手の放ってくる弾幕のリズムをよく見て、それに合わせるようにステップを踏み、反撃していきます。そうすることで、だんだん相手の弾幕をかわしながら自分の攻撃を当てられるようになってきました。
「そこだーっ!」
 激しい弾幕の撃ち合いの中、ルーミアは一瞬力を溜めるように踏みとどまって強力な一撃を放ちます。その一撃はあやまたずピンク色の服を着た人影に直撃!
「やったのかー!?」
 しかし、ふっ飛ばされたピンク色の服を着た人影は、さっきと同じように姿を消してしまいました。
「もー、逃げないでってばー!」
 人影が消えた方向を目指して、ルーミアはさらに進んでいきます。――進んでいけば行くほど、ここがいつも遊んでいる魔法の森だとは思えなくなってきました。
 基本的にそこらへんの子供と同じような扱いを受けているルーミアですが、それでも立派な妖怪です。理屈ではなく感覚で、今自分がいるこの場所が普通ではないことに気づき始めていました。
(やっぱりここ、いつもの魔法の森じゃないよね……。あのふたり、わたしをどこかに誘ってるのかな……?)
 そう言えば、いつの間にかあれだけ群がってきていた妖精の姿はいつの間にか消えていました。耳を澄ますと、虫の声も聞こえなくなっています。動物の気配も、周りからは感じられません。
 そんなふしぎな夜空の下を進んでいくと……いました! さっきの二人組みです!
「やっぱりというか……あの子、私たちの弾幕をぜんぶ踊りながらしのいだわ」
 感心したようにそう言うのは、ピンク色の服を着た女の子。手にはミョウガを持っています。
「予想通りだね。これは楽しめそうだ」
 にやりと笑いながらそう言うのは、緑色の服を着た女の子。手には竹を持っています。
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紅楼夢原稿を書いていきます。
初公開日: 2023年09月29日
最終更新日: 2023年09月29日
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