「おいパチュリー! 邪魔するぜ!」
夜の紅魔館。
そこにいつものように侵入した魔理沙は、半分寝ている門番を遠慮なしにふっとばして一直線に図書館へ向かいました。
昼でも夜でも変わりない薄暗さとカビの匂いのする図書館を、ほうきに乗った魔理沙は勝手知ったるなんとやらで飛んでいきます。
と、その行く手を阻むように、薄暗い図書館の闇の中に無数の魔法陣が浮かび上がりました。
「こんな時間に大声で、躾のなってないネズミね」
かぼそくつぶやくその声は、本棚が立ち並ぶ図書館の中に反響して四方八方から響いてくるようです。そして、四方八方から届くのは声だけではありませんでした。
魔理沙を取り囲むように配置された魔法陣から、無数のレーザーと弾幕が一斉に発射されます。
幻想郷で、これだけの弾幕を一斉にコントロールできる者はそうはいません。図書館の奥で魔理沙を待ち受けていたのは、七曜の魔女こと図書館の主、パチュリー・ノーレッジでした。
文字通り、ネズミを捕らえる檻のように縦から横から迫る弾幕を、魔理沙はスピードを増したほうきにしがみつくようにしてかわしていきます。弾幕をかわしながらも、魔理沙はスカートの中に仕込んだ魔力を込めた薬品入りの小型フラスコを爆雷のようにばらまいて、目くらましを試みます。
「手厚いおもてなしはありがたいが、今夜は遠慮するぜ! ちょっと急いでるんでな!」
「そっちの都合なんて聞いてないのよ……!」
側面から回り込もうとする魔理沙に対し、パチュリーは自身を中心として全方向にレーザーを撃ってきます。さらに、レーザーは回転して空中を縫うように飛び回る魔理沙を追い詰めてきました。
「はは、懐かしいなこれ! 紅霧異変を思い出すぜ!」
「そう言えばアンタ、これ無断でパクって自分のスペカにしてたわよね……!?」
「まあ細かいこと言うなって! 私とお前の仲じゃないか! それに……」
魔理沙はあえて迫ってくるレーザーに合わせて回転軌道をとりました。そして、渦の中心を目指すように徐々にパチュリーとの距離を詰めていきます。
「自分で使ってりゃ、攻略法もわかるってもんだ!」
「く……!」
距離を詰められたパチュリーは次の攻撃を繰り出そうとしますが、その時にはもう魔理沙は眼前に迫っていました。ほうきの毛先がぶわっと広がり、その間からほうきの毛束に塗り込んだ魔法薬が蒸発した魔力の光が溢れ出ます。
そのまま魔理沙は、パチュリーに向かって一直線に突撃!
「彗星『ブレイジングスター』」。「恋符『マスタースパーク』」に並ぶ魔理沙の必殺のスペルカードです。