「へへーん! 当たらないよーっ!」
お札と陰陽玉の波状攻撃を前にして、ルーミアはさも楽しそうに笑っています。そしてその余裕の表情の通り、ルーミアはたくさんの陰陽玉のあいだをリズムに乗ってすり抜けるようにかわしました!
「……!」
「いち、にい、さん、はい!」
掛け声とともに、ルーミアは霊夢の放った陰陽玉と同じように地面と木々の間を跳ね回ります。そのさまは、まるで陰陽玉に合わせて踊っているようでした。
今まで一度も見たことがないルーミアのその動きに、霊夢は思わず見入ってしまいました。――それと同時に、胸の中の疑念が確信に変わったのを感じました。
おかしい。これはおかしい。
人間と違って、妖怪はその能力や強さが大幅に変化することはまずありません。それは、妖怪たちの持つ能力は、各々の存在そのものだからです。人間のように練習や修行をして強くなったり、新しい能力を身に着けたりする妖怪が基本的にいないのは、自分の能力に大きな変化が起これば、その存在もまた大きく変化してしまうから。下手をすれば、それまでとはまったく異なる存在になってしまうこともあるのです。
強さも同じ。強い妖怪は初めから強く、そうでない妖怪は初めからそうでないというのが妖怪の強さです。修行を積んで新しい能力を身につける――例えば、魔理沙のように――というのは、人間だけの専売特許なのです。
そう考えると、ルーミアのこの強さはいったいなんなのでしょう。必死に弾幕ごっこの練習をして強くなった……というわけではないのは確かです。では――?
「今度はこっちからいっくよーっ!」
無数のお札と陰陽玉のあいだを、軽やかにステップを踏んですり抜けたルーミアは、天地逆さまの姿勢から被せるように妖気弾を撃ってきました。
「くっ……!」
今まで数え切れないくらいやってきた弾幕ごっこのはずなのに、霊夢は次第に押されてきました。ルーミアの放った妖気弾は、霊夢の逃げ場を奪うようにリズムに乗って飛んできます。
ただ単にルーミアが強いというわけではありません。なんだか、いつもと勝手が違う感じ(傍点)がするのです。
「もう……! なんなのよのいったい!」
霊夢はお札と陰陽玉に次いで、退魔針を打ち出します。お札がひとりでにくるくると細くこよりのように巻かれていったかと思うと、切っ先鋭い針となって空中を走り抜けました。
妖怪なら命中すればただでは済まないその退魔針を前に、ルーミアはなんと、一気に間合いを詰めてきました!
「なっ……!」
体をかすめる退魔針にもひるまず、ルーミアは霊夢の眼前に迫ってきます。慌てて次の攻撃に移ろうとした霊夢ですが、まるでダンスの最中に足をもつれさせてしまった(傍点)かのようにバランスを崩してしまいました。そして――。