「聖域」の中央に座した創造維持神を取り囲むように伸びたパイプや配管は、さながら創造維持神の拡張された鋼の臓腑だ。そして、神経節(コード)が集中する先には、緑色の培養液が満たされたタンク。その中には、クローニングされた人体、すなわち、我々の計画したダァバール融合実験の要とも言える存在である代理体(サロゲート)が浮かんでいる。
さながら羊水の中に浮かぶ胎児のように体を丸めている代理体(サロゲート)の頭部はそのまま巨大な神経節(コード)に飲み込まれており、その表情をうかがい知ることは出来ない。しかし、この場にはこの魂なき虚ろな肉体に関心を払うものなどいない。我々が問題としていることはただひとつ、ダァバール融合実験の成否だ。
代理体(サロゲート)の浮かぶタンクの直下には、タンクの大きさに比べると小さな金属製の椅子型の設備が設置してある。中世の拷問器具を思わせるようなこの椅子に、ダァバール融合実験の被験者がその身を横たえるのだ。そして――そのあとどうなるかは、文字通り神のみぞ知るというわけだ。
クローニングによって代理体(サロゲート)を用意することは容易かった。ダァバール融合実験の被験者を用意することはさらに容易かった。