もう次から次に見たい作品が湧いてくるので体が足りません。平行世界から自分を200人くらい召喚できないものか。
というわけで今日見てきたのはこれ。
あの二人がスクリーンに帰ってきた! 個人的にぜひとも続編を作ってほしかった「ベイビーわるきゅーれ」、待望の続編決定&上映!
実は上映自体は他の劇場ではもう少し早く行われていたんですが、やはりサンサン劇場で見たいということでじっと我慢の子。そして満を持して今回見てきたというわけですよ。
続編は前作とどのように差別化するかがまず見られるポイントとなるわけですが、今回は前作に比べてコメディシーンが多くなっていたのが印象的でした。
また、戦闘に関しても前作は大勢VSちさととまひろコンビという構図でしたが、今回は正規殺し屋のポジションを狙うゆうり&まことの非正規殺し屋兄弟との2on2のバトルが追跡撃がメインとなっています。
しかし、変わらないものがただひとつ。それはちさととまひろのグッダグダな生活。督促状を20通に渡って無視してたせいで300万以上の未払金が発生。しかも殺し屋協会の「殺し屋わくわくプラン」(なんだそりゃ)から「殺し屋うきうきプラン」(なんだそりゃ)への変更でまたお金が必要、さらに銀行に行ったら行ったでなぜか銀行強盗が来るという明らかになにか憑いているとしか思えない不幸な出来事が連続しますが基本は自業自得という。
ここの銀行でのバトルがつかみとしては最高。まず「本物の殺し屋が一般人と一緒に素人丸出しの銀行強盗に捕まる」という、日本中の中高生男子、ことによれは成人後のイイ年下したおっさんも好きなやつがぶちかまされるので最高。そしてここでは周辺の電話機やファイル、椅子などなどを活用するジャッキー・チェン的環境活用闘法で最高に楽しめました。しかもこれがSNSに流されて前述の殺し屋兄弟に見つかる羽目に……。
今回は敵対する相手が絞られているせいか、さまざまな形でのバトルのバリエーションが楽しめます。特にきぐるみバイト中の小突きあいからのちさととまひろのガチバトル、「志村うしろうしろ!」な騙し合い、定食屋での突然の襲撃、そして廃車置場と言う絶好のロケーションのラストバトル、バリエーション豊かなバトルが楽しめました。
そして「緩急」の「緩」に当たる日常パートがまたいい。前作を見ていると、まひろの言葉の端々によりまひろと打ち明けた感が感じられて、わたくしマスクの下で若干気持ち悪い笑みを浮かべていました。若干気安さがアップしてるのと、ちさとからまひろへのボディタッチが増えてる気がする。こういうちょっとしたイチャイチャが実に良いんですよね……。(気持ちの悪い笑み)
コメディ部分としては特に生活の困窮しすぎたちさとが賭け将棋にフラフラと参加して普通に負けるシーンとか好き。また、今回は二人の私生活のグダグダ具合の描写が増えてたので、前作を見たときの「ちさととまひろのグッダグダな私生活をあと155874454時間見たい」という願望を満たすことができました。
そのグダグダ具合もまた共感を覚えるもので、前作にも増して二人のことが好きになりました。そうだよな……お役所からの書類の返送ってめんどくさくて忘れがちだよな……規約とかいちいち読んでられねーよな……。
そんな中でも、前作ではどこかぎこちないところがあったふたりがだいぶ遠慮なしに言い合える感じになっててよかった。続編モノに対して期待する事柄というのはたくさんありますが、こうした「ちょっとした部分から垣間見える関係性の変化」という
対して今回の敵役となるゆうり&まことの兄弟も魅力的。殺し屋なんていう家業に身をやつしているとは言え、基本的にはそこらへんにいそうなあんちゃんたちといった感じで微笑ましい。特に、中学の時に入ってたというバスケ部の掛け声のくだりとか定食屋の娘さんに告白しようとするくだりとかのどうということはない日常のやり取りが好き。
しかし、やはり本作に登場する人々に共通して感じるのは、誰も彼もが「社会が要求する『普通』になれなかった不器用な人々」だということ。
主役であるまひろとちさとやその周辺の人々、ゆうり&まことの兄弟がなぜ殺し屋なんかになったのかは作中で明確に語られることはありません。しかし、その理由は例えば「生まれたときから暗殺者として育てられた」とか「殺された親の仇を取るために殺し屋になった」といったようなドラマチックな理由ではないでしょう。作中での言動やその暮らしぶりから察するに、彼女ら、彼らはただ単に、どうしようもなく「普通」ができなかったがために殺し屋なんていう因果な商売に身をやつすしかなかった人たちなんだろうと思います。そして彼女ら、彼らは「延滞したお金を時間内に支払う」「気になった女性に声をかける」といった全然特別ではないさまざまな側面でそれでもなんとか「普通」に
「殺人を生業とする」なんてのはヤクザ以上に反社会的な家業なわけですが、彼女ら、彼らはそうするしかなかったし、そうした世界にこそ仲間を、安住の地を見つけた人たちなんでしょう。
ラストバトル、そして決着がついたあとの両コンビも、お互いにある種の友情、理解、共感が確かにあったことがわかるのがおかしいやら切ないやら。結局殺し合うしかない両者ですが、そうすることこそが彼女ら、彼らにとってはそれこそ「『普通』の人には決してできないかけがえのないコミュニケーション」だったんじゃないでしょうか。
また、今回個人的に株が上がったのが後始末業務担当の田坂さん。田坂さんを演じる水石亜飛夢氏は「魔進戦隊キラメイジャー」のなにかとひどい目にあってるブルーの人として知りましたが、まあ良い役者さんですよね。
まひろとちさとのコンビの雑な殺しの後始末に頭を悩まされつつのあのネチネチ説教、やたらテンションの高い独り言などなど、「ああ、この人も『普通』ができなかった人なんだろうなあ……」としみじみ思いました。
そんな田坂さんがいったん捕らえたと思われた兄弟を追いかけて撃たれてしまうシーン……からのちゃっかり生きてましたの流れ最高すぎる。そこから同僚の宮内さんに叱咤されてまひろ&ちさとコンビに兄弟へのリベンジを依頼するシーンほんと好き。こういう形での仲間意識がわかるシーンって本当に好きなんですよね。今回は裏方の人たちの掘り下げもあって「ベイビーわるきゅーれ」の世界がぐっと深まった気がします。
本作は前作や「最強殺し屋伝説国岡」にも感じた「『普通』でいられなかった人たちにも居場所はある」というある種の希望を提示してくれる作品だと感じます。また続編作ってくれないかなあ……。