花粉症の季節でもないのにもう目が痒い……。
・人道爆弾ができる頃(まるちぷるCAFE)
非常に優れたSFストーリーが魅力のサークルさん、今回の新刊はこのご時世では思わずドキッとしてしまうタイトル。
科学技術の発展はすなわち新しい兵器の誕生なわけですが、本作はASBMCと呼ばれるナノマシンを含んだエアロゾルが主軸アイテムとなった作品。
これを壁の裏側などの狭小地に吹き込めば、モニタで画像が見られるというこの発明品、最初は壁の内側に閉じ込められた猫を救うきっかけとなり、それが社会に浸透して選挙の開票作業場をリアルタイムで中継することで不正がないことを証明するのに使われるようになり、そして最終的には敵国に撃ち込んでそこの国民の個人情報すべてを筒抜けにするという情報兵器として使用されるようになる……という流れが実にSFで背筋が寒くなります。
こうした「小さな発明が時を経るごとに効果や規模が拡大していき、最終的には……」という展開はSFのお約束ですが、このご時世にこの作品を読むと薄ら寒くなります。
人間を一切殺傷しないことから「人道爆弾」というあまりにも皮肉な名前がつけられたこの兵器、逆説的に個人情報を筒抜けにすることで情報的殺傷とも呼ぶべき新たな殺傷という概念を生み出している気がします。さらには作中でも言及されている通り、いずれは戦争の概念を大きく変えてしまう存在となるでしょう。
いやーこれぞSFって趣の一冊でした。
今日はここまで。