なんか11月からまたすごいことになるらしいサンサン劇場。これ以上なにがあるというのか。
そんなサンサン劇場ですが、今回見てきたのはこれ!
前作にあたる「最強殺し屋伝説国岡・完全版」が面白かったので、続編となる本作も見てみることにしました。
「実在する殺し屋・国岡に密着取材」という設定だった前作に対し、今回は「6人の殺し屋志望の女の子たちを養成するために国岡が合宿を行う」という設定。
「べいびーワルキューレ」でも顕著だったゆるゆるだらだらな日常と激しいアクションの落差は今回も健在。
今回面白いなと思ったのが、今回のメインステージである「合宿」というのがそもそも日常から切り離されたシチュエーションであるということ。
今回殺し屋見習いとして登場する女の子たちは、冒頭の面接で分かる通り誰も彼もまあぐだぐだゆるゆるというか一筋縄では以下なさそうというか、まあ一言でいえば全員社会不適合者なんですよね。
その社会不適合者たちにとって「日常」っていうのは、彼女らの足元に絡みつつ鎖であったり、肩にへばりついてくる呪いであったり、価値もないのに大量に無限に溜まってくるゴミであったり、まあ押し並べて価値の無いものでしょう。だからこそ彼女らはそんな日常を捨てて一縷の希望を求めて殺し屋への門を叩き「合宿」という自分たちのこれまでの「日常」という束縛から切り離された状況で、自分たち以外の存在と触れ合うことで仲間と出会って……というといかにも青春モノな感じですが、そのスタート地点となる冒頭の面接がもう完全に頭の先から爪先まで胡散臭さ丸出しの詐欺会社で、しかもその成功体験のイメージとして提示されるのが一皿何万円の寿司屋やらジャガーやらサブスク選び放題やら微妙にショボい。
この辺でも、彼女らは別に教祖の高邁な思想に感動したわけでもなければ世のため人のために正義の殺しを行おうとしているわけではなく、「ただ単にこれまでが嫌だった」という動機で殺し屋を目指しています。この期待感のなさというのが実に現代の状況を映し出していると感じました。
「最強殺し屋伝説国岡・完全版」のときも思いましたが、派手なアクションやバトルシーンに目が奪われがちな阪本裕吾監督作品ですが、つまるところ氏の作品は常に、「普通」に居場所がない人たちの救いとしての殺し屋というフィクションと感じます。
殺し屋の世界でいっぱしの業績を上げている国岡にしても無敵のヒーローでも無ければ大金持ちでもなく、彼自身もまた「普通」ができずに殺し屋業界に流れてきた人間のひとり。
そして今回集まった6人の女の子たちもまた、あるものは親の期待に押しつぶされ、あるものは自分の進むべき道を見失い、またあるものは新興宗教に振り回され……といったように誰もが欠落を抱えています。
本作は、そんな彼女たちの癒やしの物語だったのではと思えるんですよね。
はじめは全然噛み合わなかった彼女たちですが、合宿というこれまでの人生から切り離されたシチュエーションで少しずつ自己開示を行うようになり、最終的に協力しあって一つの目標を達成する。
もう完全にセラピーの流れですよねこれ。
劇中でこの合宿を「林間学校みたい」と評するシーンがありますが、彼女たちはそれぞれの事情でそういったイベントを楽しめずにいました。そう、この合宿はまさに彼女たちがかつて得られるはずだった青春を取り戻す場としても機能しているわけですよ。
それが証拠に、乱入してきた殺し屋集団を見事撃退したあとの打ち上げのあの楽しそうなこと!
そして彼女たちは、非日常の極みとも言える殺し屋家業を通じて自己実現、自己肯定を達成する。みんな楽しそうなラストはまさに青春映画のそれでした。
R15ということでけっこう血ィドバドバ出る作品でしたが、「べいびーワルキューレ」も「最強殺し屋伝説国岡・完全版」もラストが爽やかで好きなんだよな……。
「ある用務員」と「ファミリー☆ウォーズ」も見てみたい。