定番のやつを定番通りに書くつもりです。
久しぶりの自宅。重い身体をひきずるように玄関を開け、吸い込む空気には恋人の香りが混じる。帰ってきた。その実感とともに鍵をかければ、ぱたぱたと廊下を走ってくる足音。
「心操!おかえ、り……」
ただいま、と開きかけた口は、尾空戦舞よろしく飛んできた尻尾に塞がれてしまった。
「喋るな」
剣呑な顔で制され、心操が目を瞬かせる。何事かとふさがった口のかわりに視線を投げれば、尾白は一層顔をしかめた。
「まずは手洗いうがい。風呂は、やめたほうが良さそうだな。着替えは持っていってやるから待ってろ」
ぴしゃり。言い切った尾白が、心操の口から尻尾を離す。2週間ぶりになる恋人の尾を、逃してなるものかと腕の中へ閉じ込める。頬を擦り寄せると、子供体温おひさまの心地、が代名詞の尾白の尻尾がひやりと心地良い。その心地よさに瞳を閉じた心操に、尾白が大きくため息。
「心操、お前熱あるよ」
そこからは、自身の個性にかかったのかのごとく記憶がない。は、と気がついたときには布団に包まれたベッドの上、ぼんやりと天井を眺めていた。
「起きたか?」
控えめに開かれたドアから、尾白が顔をのぞかせる。同時にそこから懐かしい暖かな香りが漂ってくる。
肘をついて身体をゆっくりと起こした上半身は、疲れ、の一言では済まされない重さと熱がこもっている。
「あ、喋るなよ。口動かせばわかる」
隣に腰掛けた尾白は、心操が口を開く前に釘を刺した。
『わるい』
声帯を震わせずに唇でその音を形どれば、尾白は小さく息をついて苦笑した。
「疲れが出たんだろ。熱、はかれるか?」
手渡された体温計を脇へとはさみ、待つこと15描写。電子音を合図にそれを抜けば、有無を言わさず取り上げられてしまった。
「37.8分。食欲は?」
『ない、なんて言うと思うか?』
心操の投げ出た視線の先、大ぶりの茶碗と並ぶ丼ぶりからはふわりと湯気が立つ。湯気とともに鼻孔をくすぐるのは、米と卵の優しい匂い。
「食欲あるなら良かった。食える?」
『ん、もらう。サンキュ』
起こした半身をベッドヘッドへ預け、れんげを取る。とろりと煮込まれた白米に、ふかふかと混じる卵の黄色。れんげを沈ませ、そっとすくい、ふぅと息をかける。揺れた湯気が室内を粥の香りで満たし、くぅ、と小さく腹がなる。
「やけど、気をつけろよ」
言った尾白の手には、同じく湯気の立つ丼ぶり。心操と同じ仕草を繰り返し、あ、と大きく開けた口の中へれんげが消える。
『うまい』
「ん、うまいな。味噌汁にしようと思って出汁とってたから、それ使ったんだ」
はく、はく、はく。のろのろと食を進める心操と違い、尾白の器の中からは粥がどんどん消えていく。その久しぶりに見る食べっぷりに、