「う……」
 はじめに見たのは、ぼんやりとした光。
 それがなんの光か理解する前に、ぱしゅっという空気が抜けるような音がして、一気に視界がひらけた。
 まるで何年も眠っていたみたいに、光に目が痛む。思わず両手で目をかばって、指の間からおそるおそる自分の周りを確かめた。
 ぼんやりとした光は、真っ白な天井にあるライトの光だった。視線を横にやると、右も左も白い壁。たぶん、床も真っ白だろう。
 そしてわたしは……なんだろう、これは。
 私は、筒のような、カプセルのような……何かよくわからない機械の中に体を横たえていた。何も着ていない裸の体。真っ白な自分の肌が、なんだか自分のものではないみたい。
 体をなんとか起こそうとしたけれど、うまく力が入らない。
 と、白い壁の一部に、音もなくすうっと縦に亀裂が入った。かと思うと、その亀裂が左右に開いて……白い壁と同じ、真っ白な服を着た女の人が入ってきた。
 かつ、かつ、かつと規則的な足音を響かせながら、その女の人はわたしの目の前まで歩いてきた。
 腰まである長い金髪。すらりとしたスタイル。そして、わたしをじっと覗き込む瞳は、不思議な虹色をしていた。
「遺伝子コードからの再生に成功。失見当、意識の混濁は認められず。海馬体への基礎知識の定着完了。自律呼吸確認」
 わたしの目をじっと見つめたまま、女の人はよくわからないことを言った。なんだか平坦な、感情の感じられない、不思議な声だった。
 あなた、だれ? と聞こうとして息を吸い込んだとたん、わたしは激しく咳き込んでしまった。
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初公開日: 2022年09月17日
最終更新日: 2022年09月17日
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