「あ……あなた、人間……なの……?」
檻から十分な距離と取りながら、わたしは震える声でそれだけをようやく口にした。
返事はない。
代わりに、かすかなうめき声だけが聞こえた。その声は言葉と言えるようなものじゃなかったけど、わたしにははっきりわかった。
死にかけている。
姿すらはっきりわからない状態だったけれど、わたしにはそのうめき声が、命が尽きかけている生き物の発するものだということが、はっきりわかった。
死にかけている相手なら襲ってこないだろうという少しの安心、そして相手がどんな怪物であろうと、目の前で死にかけている者を放ってはおけないという焦燥感が、わたしの足を動かした。
さっきとは打って変わって早足で檻に駆け寄り、カンテラをかざす。
オレンジ色の光の中に浮かび上がったのは……衣服とも呼べないボロ布をかぶった少年だった。
わたしがそれを……彼を、少年だと判断できたのは、カンテラの光に浮かび上がった土気色の顔からだった。けれど、彼の首から下を先に見ていたら、わたしは彼を一人の少年だと判断することはできなかっただろう。
ボロ布に隠れていたが、彼の首から下はところどころが黒い毛で覆われていた。やせ細った腕から指先に向かって視線をやれば、その先にある指には明らかに人間のものではない大きな鉤爪が生えている。さらに、檻の奥、力なく床に身を横たえている彼の両足をよく見てみれば、その膝は前方向に曲がっていた。
――畸形(フリークス)だ。
前に一度だけ、お父様が招いたらしいサーカスの一団が庭に来たときに見たことがある。